ほかの動物よりも独特らしい? 馬体の各部名称50!
2020/08/07
カテゴリ:馬のはなし / Pacallaオリジナル
こんにちは、Pacalla編集部です。
読者の皆さんは、馬の体はいくつの構成要素に分けられると思いますか?
まずは大きく『頭』『頸(くび)』『胴』『肢』の4つに分けることができそうですね。ですが、この4つの構成要素はさらに細かく50以上に分けられており、その各部には独特な呼び名がついています。そしてその細かさ、独特さはほかの動物と比較しても際立つといわれているんです!
今回は、そんな馬体の各部名称についてご紹介していきたいと思います。
頭と顔
馬の顔を真正面の上から見ていくと、両耳の間から①鬃髪(まえがみ)が生え、その下が②額(ひたい)、そして長い④鼻梁(びりょう)が続き、⑤鼻端(びたんor はなさき)となります。鼻の穴のことは⑥鼻孔(びこう)と呼びます。
口は⑦上唇(じょうしん)と⑧下唇(かしん)に分かれており、⑪顎(あご)の先端を⑨頤(おとがい)、その裏にあるくぼみを⑩頤凹(おとがいくぼ)といいます。頤という言葉は聞き慣れませんが、この呼び名は人間の下顎の先端の呼び名としても使われています。
顎の上の大きな筋肉の部分は⑫頬(ほほ)、頬の下の喉の部分を⑬咽喉(いんこう)といい、さく癖のある馬はこの部分にさく癖バンドを取り付けます。
また⑯耳のすぐ後ろの頭部でいちばん高い部分を⑮項(うなじ)といいます。(人間の“うなじ”とはイメージの異なる場所ですね!)。目の上にあるくぼみは③眼孟(がんう)、耳と頬の間は⑭耳下(みみした)と呼ばれます。
頸(くび)
⑰頸(くび)の上に沿って生えている長い毛が⑱鬣(たてがみ)であり、片側または両側に垂れています。頸の下縁に沿って凹んだ溝を⑲頸溝(けいこう)といい、この部分には頸静脈が通っています。
胴
馬の胴は、『背』『腰』『尻』『胸』『腹』の5つから構成されています。
<背~腰>
背中の前端の盛り上がった部分が⑳鬐甲(きこう)です。鬐甲は胸椎が隆起し、突出したもの(棘突起)がもとになっているそうです。よく聞く『体高』とは鬐甲から地面までの高さのことをいいます。
⑳鬐甲の後ろの傾斜から、やや凹んでいる部分が㉑背(せ)です。背の凹みの後ろの上向きの傾斜が㉒腰(こし)となります。腰の両側の突出部分が㉓腰角(ようかく)です。
<尻>
腰の頂点から後ろが㉔尻(しり)となり、尾の付け根の㉕尾根(びこん)に向かって下がっていきます。胴体の最後部が㉗臀(でん)、その先端が㉖臀端(でんたん)です。㉓腰角※と㉖臀端を線で結ぶと、その線の中央に股関節があり、そこから前斜め下に㉘股(また)があります。
※1つ上のイラスト参照
<胸~腹>
頸の付け根と胸の境目から盛り上がっている部分を㉚胸前(むなまえ)といいます。また⑳鬐甲(きこう)から前肢の付け根あたりを㉙肩(かた)、肩の先端部分を㉛肩端(けんたん)と呼び、後端部分を㉜肘(ひじ)と呼びます。肘の直後、鞍を装着した際に腹帯が通る部分が㉝帯径(おびみち)です。
肋骨がある胴の側面部分を㉞肋(ろく)、肋と㉓腰角の間の凹んでいる部分を㊱膁(ひばら)、その下を㉟腹(はら)といいます。
肢
前肢の最上部にあたるのが㊲上腕(じょうわん)、その下に㊳前腕(ぜんわん)、㊴前膝(まえひざ)と続きます。
後肢の付け根(股の前端)にあるのが㊻後膝(あとひざ)、その下の傾斜を㊼脛(すね)といい、㊾飛節(ひせつ)へ。飛節の後ろ側の突出部分を㊽飛端(ひたん)と呼びます。
前肢・後肢共通部分は、細長い㊵管(かん)から下です。管より下は㊶球節(きゅうせつ)、㊸繋(つなぎ)、㊺蹄(てい)が続きます。㊶球節の後ろ面には小さな角質の突起があり、そこに生える毛を㊷距毛(きょもう)といいます。㊸繋と㊺蹄の境目は隆起していて、この部分を㊹蹄冠(ていかん)と呼んでいます。
また肢の内側、前肢の場合は㊴前膝の内側、後肢の場合は㊾飛節の内側にできる、灰色の角質のかたまりを㊿夜目(よめ)といいます。夜目は角質のため、知らないうちにポロっと取れてしまうこともありますが、時間が経つと同じ場所にまた発生します。
(ちなみにPacalla編集部には、撮影に使用したポロっと取れた夜目をずっとロッカーに放置していて、謎の匂いを発生させたスタッフがいます…)
皆さん、馬体の各部名称はいくつご存じでしたか?
今回は50箇所ピッタリご紹介しましたが、もっと細かく分けることもできるようです。
Pacallaでは過去に全国乗馬倶楽部振興協会の乗馬ライセンスについて特集したことがありますが、乗馬ライセンスの筆記試験の範囲には、級によって馬体各部の名称も含まれています。もし、馬体の各部名称を覚える場合は、一度に全部覚えようとせず、まずは『頭の各部』を覚え、それから『背中・尻の各部』を覚えるといったように、大きなグループごとに覚えていくのがおすすめです。また、その際に自分で馬体の絵を描いてみると、より知識が定着しやすくなりますよ!
※馬体名称は本によって、呼び方や表記が異なる場合があります。乗馬ライセンス取得のために馬体名称を覚える場合は、必ず専用のテキスト(レッツエンジョイライディング)の内容で覚えてください。
参考文献)
・JRA競馬学校教科書「馬学 上巻」/平成6年発行
・サラブレッド講座 競走馬・馬体の仕組み(JRA)/2020年7月30日閲覧
http://www.jra.go.jp/use/
・レッツエンジョイライディング(著者:日本中央競馬会馬事公苑/発行:全国乗馬倶楽部振興協会)/平成17年7月改訂版
・馬のきもち HOW TO THANK LIKE A HORSE(Equinet)/平成30年6月30日発行