フリージアンが引く馬車を自分で運転⁈ 比企の丘キッズガルテンへ行ってみた
2021/07/02
カテゴリ:馬のはなし / 色々なはなし / Pacallaオリジナル
こんにちは! Pacalla編集部のやりゆきこです。
突然ですが、皆さんは馬車に乗ったことはありますか? テーマパークやイベントなどで馬車の客席に乗ったことがある方はいらっしゃるかもしれませんね。でも馬車の御者…、つまり自動車でいうところの運転手席に座って、馬車を運転した経験がある人はほとんどいないのではないでしょうか?
今回はフリージアンという、日本ではなかなか見かけることのない珍しい馬と馬車の御者体験ができるという『比企の丘キッズガルテン』さんに行ってきました!
※御者:馬車を操作する人/馬車の運転手
Pacalla過去記事:高貴な人が乗るだけじゃなかった! 馬車のはじまりと『はたらく馬車』はこちら≫
比企の丘キッズガルテンとは?
比企の丘キッズガルテン(以下:キッズガルテン)は埼玉県比企郡滑川町にある、『ECFoL (Equine Centered Form of Life)=馬を中心とした暮らし』の理念に基づいて、古くから馬のある暮らしそのものを実践している牧場です。
ここでは馬車を引く3頭のフリージアンをはじめ、ドサンコなどの馬たちが元気に暮らしています。乗馬や馬車の御者体験のほか、農園作業など古き良き牧場の暮らしを体験できるプログラムが用意されているそう。また、定期的に舞踏や書道、馬頭琴などの教室も開かれています。
▲馬のほかにもヤギ、ニワトリ、犬、猫、鳥など様々な動物に触れ合うことができる
世界一美しい馬?『フリージアン』ってどんな馬?
▲やっぱりフリージアンは美しい!!
世界一美しい馬ともいわれるフリージアンは、体高152~164cm、体重600kgほどの重種馬。サラブレッドに比べるとかなり大きいですが、これでも重種の中では小柄な品種です。
11世紀頃にオランダで誕生した歴史の古い馬で、現在はアメリカやイギリスといった多くの国で活躍していますが、日本にはあまり多くはいないというのが現状です。美しいたてがみと筋肉質な馬体、骨太で頑丈な足に生えたフサフサの距毛が特徴的。毛色については青毛のみといわれていますが、遺伝の問題で時折栗毛や鹿毛が生まれることもあるんだそう。
体力があり、敏捷性が高く、知性的…そして、音やカメラのフラッシュなどにあまり動揺しないような性格は馬車を引くのにぴったりです。それに、見た目の美しさと華麗な歩様はパレードなどの華やかな馬車にもよく似合います。
詳しくはPacalla公式YouTubeチャンネルPacalla馬図鑑『フリージアン編』で!≫
現在、キッズガルテンで働くフリージアンは3頭。キッズガルデン周辺のイベントに馬車馬として出動するほか、週末は恵比寿にある某有名ホテルで、結婚式用の馬車を引いているんだとか! 今回は11才のフリージアン、ジュレ君を相棒に馬車の運転体験(御者体験)をさせてもらうことになりました。果たして、私は御者の務めをきちんと果たせるのでしょうか…。
▲馬車以外には乗用馬としても活躍! 美しい歩様は馬場馬術にもよく合う
今回のメインイベント! 馬車の御者に挑戦
▲牧場長・王恵楽さん。初心者にもわかりやすく丁寧に指導してくださいます!
さあ、ここからがこの日のメインイベント! 馬車の運転にトライしていきます!
ブラシで馬体を軽くマッサージした後、牧場長の王さんに指導してもらいながら、馬車用の馬装をしていきます(装備の数が多くて、完璧に覚えるのはなかなか大変そう…)。
ジュレ君はとても穏やかな馬ですが、フリージアンは背が高く、首がアーチ形で真上に伸びているため、頭の位置がかなり高い…。馬装(特に頭絡の装着!)も一苦労です。しかしジュレ君、だんだん心の距離が縮まったのか(?)、最終的には自ら頭を下げてくれました。王さんはこうやって、馬とお互いに協力しながらやっていくことが大切だといいます。
▲馬装を終え、馬車の柄につながれたジュレ君。遮眼革がかっこいい!
馬装を終えるとすぐに第二の関門が!
馬をまっすぐ後退させ、馬車の左右から伸びる柄の間に、上手いこと入ってもらわなければなりません。「バック!バック!」とジュレ君に声をかけ、自分の立つ位置を調整しながらハミへの軽いコンタクトで後ろに誘導します。
微調整を繰り返し、なんとかいい感じにおさまってくれました…! 馬装の際に装着した引き革と馬車をつないで準備完了。お客さんが馬車に乗り込みます!
初めての御者体験で、まさかお客さんを乗せることになるとは思っておらず…手に汗が。お客さんが馬車に乗り込んでいる最中に、馬が動いてしまうと危険なので、御者は馬の正面に立ち、馬をおさえて、全員が乗り終えるのを待ちます。ちなみに、馬車で起こる事故の90%はこの乗り降りのタイミングなんだそう。これは責任重大!!!
※柄:馬と馬車を繋ぐ長い棒の部分
▲御者席からの眺め。馬はだいたい自分の体重の倍の重さまでなら無理なく引くことができる
お客さんの安全確認ができたら、自分も御者席に座って、まずは王さんのお手本を見せてもらいます。そして、今度は私の番! この馬車の御者席はふたりがけなので、自動車教習のように隣に王さんが座っていてくれるので安心です。
まず、乗馬のように脇をしめた状態で、手綱はあまり張らず、少したるんだ状態で手に持ちます。この少し手綱をたるませる感じは、ちょっとウエスタンの乗馬に似ているなと思いました。馬車も乗馬と同様に、ハミを通して指示を出しますが、馬が動いている間は、本当に軽いコンタクトで大丈夫でした。馬がよそ見をしたときには、手綱を使って軌道修正を促すといった感じです。
速歩をするときは「速歩!」と大きな声で号令をかけると、優秀なジュレ君は速歩を出してくれます。ただ、ジュレ君はちょっとサボり癖があるそうで(笑)、少し足取りが重くなってきたなと思った瞬間にもう一度「速歩!」と声をかけなければいけません。このタイミングが非常に重要! 1秒でも、声がけが遅れると、常歩に落ちてしまうので見極めが大切です。ちなみに停止するときは「お~!」という声がけとともに、軽く手綱を引くことで馬が止まってくれますが、馬車によっては、御者席の足元にブレーキがついているタイプもあるのだそう。
運転中、いちばん難しかったのは道を曲がるときです。例えば右折したい場合は、人間の心理的には右の手綱を進行方向へ引っ張りたくなりますが、外側の手綱でコントロールします(この辺はハミにまつわる奥の深い話になってくるのでここでは割愛…)。
御者席にもだいぶ慣れてきた帰り道、予期せぬできごとも! なんと大型の対向車がやってきました。ですが、さすが穏やかなフリージアン! 御者の私よりも平常心(笑)。トラックの運転手さんも、ホースファースト!?で道を譲ってくれました(ありがとうございます!)。
王さんによると、御者に必要なスキルは、基本的に乗馬とほとんど変わりないそうです。騎乗ができる人は、馬車の操作を覚えるのがとても早いといいます。ですが、全く馬に乗らない人も、ドライビングや馬の基礎など、グラウンドワークからしっかり学んで練習すれば操作できるようになるとのこと。安心して挑戦してみてくださいね。
馬車体験の動画はPacallaの公式YouTubeチャンネルで見ることができます!≫
比企の丘キッズガルテンは、馬のいる暮らしを体験できるとても貴重な場所だった
今回おじゃました比企の丘キッズガルテンは、フリージアンと一緒に、馬車などを使った昔ながらの馬のいる生活を体験できるとても貴重な場所でした。馬車で進む道も、どこか懐かしさを感じる田舎道といった感じで、まさに都会の喧騒から逃れるにはぴったりです。
また、この記事の中ではあまり触れることができませんでしたが、半日~丸一日使った『牧場暮らし』のプログラムでは、ヤギや鶏のお世話をしたり、牧場内に実ったスモモや梅を摘みにいったりと、乗馬や馬車以外にも普段の生活では味わうことのできない体験をすることができます。ぜひ皆さんも比企の丘キッズガルテンに足を運んでみてください。
ヤギの集牧やスモモ狩りについてははPacallaの公式YouTubeチャンネルで見ることができます!≫
◆比企の丘キッズガルテン 営業案内
※2021年7月現在の情報です。営業情報は予告なく変更になることがあります。
<比企の丘キッズガルテン>
住所:〒355-0803 埼玉県比企郡滑川町大字福田2141–6
電話:TEL/FAX 0493-81-7370
予約方法:電話またはEMAIL w-wong@tariki-network.com
★アクセス
▼電車・バスの場合
東武東上線「森林公園駅」北口から「立正大学ゆき」又は「熊谷駅南口ゆき」にご乗車。「森林公園西口」バス停にて下車。バス停より徒歩約7分です。
▼タクシーの場合
行き先に「谷津の里」と伝えるとスムーズ。「谷津の里」の中に入ったら、「谷津の里のいちご農園」のハウスの向かいに見える丘が牧場です。
▼クルマの場合
関越自動車道「東松山インター」から出て、約15分。「ヒルトップファーム」をナビに入れてください。「谷津の里」の中に入りましたら、「ヒルトップファーム」の先の「谷津の里のいちご農園」のハウスの向かいに見える丘が牧場です。
★営業時間
定休日
夏時間 5:30〜11:00 16:00〜17:30
通常 9:00〜12:00 14:00〜17:00
Facebook: https://www.facebook.com/593190560712162/
★料金表:こちらをご覧ください。