根岸競馬記念公苑『馬の博物館』5つの見どころ

2018/07/02

カテゴリ:色々なはなし / Pacallaオリジナル

読者の皆さん、こんにちは!
Pacalla編集部です。

Pacallaでは生産牧場と競馬ファンをつなげる活動のほか、競馬文化や馬文化の発展に貢献する活動を行っていきたいと考えています!
そこで今回は馬文化を楽しく学ぶことができる、とっておきの場所。
神奈川県横浜市にある『馬の博物館』について、皆さんにもご紹介したいと思います。

 

馬の博物館とは?

馬の博物館は根岸競馬場(横浜競馬場)の跡地、根岸森林公園に隣接する博物館です。

日本で初めて本格的な洋式競馬が行われた根岸競馬場を記念し、1977年(昭和52)に根岸競馬記念公苑・馬の博物館がオープンしました。
館内では根岸競馬場の成り立ちや歴史、競馬文化・馬事文化に関する資料が展示されています。

今回は馬の博物館の総務部企画広報課の伊丹徳行さんに、馬の博物館の5つの見どころを教えていただきました。

(ちなみに!伊丹さんは高校生の頃から、将来は馬に関わる仕事がしたいと考えていたそうで、馬の博物館やJRA競馬博物館で、馬と競馬の魅力を伝える仕事に携わることを視野に、大学で学芸員の資格を取得したのだそう。そんな、競馬愛あふれる広報担当さんに案内いただくことができてうれしいかぎりです!)

それでは、さっそく見どころを紹介していきましょう。

 

その1:日本の洋式競馬の歴史を知ることができる!

最初に紹介していただいたのは、現在根岸森林公園及び根岸競馬記念公苑となっているこの場所に、当時はどのように競馬場が存在していたのか。根岸競馬場を中心とした、日本の洋式競馬の成り立ちや歴史を伝えるコーナーです。

根岸競馬場通史

「日本の洋式競馬の歴史は、幕末の横浜からスタートします。
1859年(安政6)の開港により、来日した居留外国人が、母国と同じように競馬を楽しんだのが始まりです。
競馬開催の最も古い記録は、1860年(万延元)秋ですが、競馬番組が残り各種規則やレースの詳細が分かる競馬開催は、1862年(文久2)春に横浜新田(現在の中華街付近)で行われたものです。
この展示コーナーでは、根岸競馬の歴史のほか当時の競馬がどのように行われていたのか、当館が所蔵するさまざまな実物資料を通じて知ることができます」(伊丹さん)

東京競馬場のJRA競馬博物館が、さまざまな展示を通じて広く競馬の情報を発信しているのに対し、このように馬の博物館には根岸競馬場の歴史が詰まっており、来館者はそれぞれ当時の情景に思いを浮かべることができるのです。

 

その2:馬の進化の歴史など、馬文化に関する貴重な資料がたくさん!

2つ目にご紹介するのは、馬の進化をテーマとして、約5,500万年前に登場した馬の祖先から家畜化に至る流れや馬の生態について知ることができるコーナーです。
見たことのない、小さな鹿のような動物たちの骨格や模型が並んでいます。

ウマの進化

「恐竜が絶滅した後、今からおよそ5,500万年前に登場したヒラコテリウム(エオヒップス)という動物が、最古の馬の先祖とされています。
ヒラコテリウムは、現在の猫や中型犬程度の大きさで、前肢に4本、後肢に3本の指がありました。
その後、地球の寒冷化・乾燥化による環境の変化に伴い、森林や湿地帯は草原に姿を変えました。
ヒラコテリウムの子孫たちは、環境に適応し、速く走るため(捕食動物から身を守るため)、進化の過程で徐々に指の数を減少させ、数千万年という時間を経て、中指1本で体重を支える、現代の馬たちの先祖となりました。
この展示コーナーでは、そうした馬の進化の歴史を、骨格や模型などの実物資料で辿ることができます。

人と馬との関わりを示す常設展示としては、曲家(まがりや)もあります。
曲家は、岩手県の農村などで見られた、人と馬の生活空間が一体となったL字型の住宅で、馬の博物館の開館に合わせて1977年(昭和52)に移築されました。
家の主人が座る位置から厩(うまや)が見通せるように配慮された間取りとなっており、当時の人々がどれだけ馬を大切に扱っていたのかを知ることができます。
また、曲家のなかには、当時の農家で使われた民具や馬に付けて使用した農具も展示しています。」(伊丹さん)

 

その3:大人も子どもも楽しめる!体験コーナー

3つ目は、何やら等身大のポニーの模型や初めて見る道具がたくさんあるコーナーにやってきました。
ここでは来館者が実際に触ったり乗ったりしながら、馬の生態や馬具のことなどを学ぶことができます。
子どもはもちろん、大人にも人気がある展示だそうです。

馬の博物館 体験コーナー

馬の博物館 体験コーナー

 

「ここでは、実際に模型を使って馬装をしたり、鞍にまたがってみたりといった体験ができます。
馬の視野は約350度で、真後ろが死角となります。
展示室内には、その視野を疑似体験できるコーナーなどもありますよ。
なかでも、とくに人気があるのは、自分の馬力を測定することができるマシン。
この馬力測定器は、体験型展示のなかでもお子様から大人の方までとくに人気があります。
ご来館の際は、ぜひチャレンジしてみてください!」(伊丹さん)

 

その4:何年も前から構想が練られる、とっておきの『特別展・企画展』

ここまで常設展示をご紹介しましたが、馬の博物館では期間限定の特別展・企画展も催されています。
テーマは、自然史・歴史・民俗・美術工芸・競馬など、その内容はさまざまです。

馬の博物館 企画展・特別展

馬の博物館 特別展・企画展

 

「過去には、人気ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズのキャラクターデザインなどを手がけた、アーティストの天野喜孝さんの個展を開催しました。
当館での展覧会に合わせて、多数の新作も描いていただきました。

美術展の他にも、『馬をめでる武将たち』(2017年秋)『根岸競馬場開設150周年記念 ハイカラケイバを初めて候』(2016年春)などの歴史にまつわる展示も人気です。
馬にかかわるキャラクターやマスコットに焦点を当てた展示を開催したこともあります。
会期中には、関連イベントとして関係者を招いてのトークショーやシンポジウム、ギャラリートークなども実施しています。

構想から出品交渉、原稿作成や資料輸送、関連イベントの準備など、一つの展覧会を開催するまでには多くの時間を要しますが、その分、見ごたえのある展示ばかりです。
特別展や企画展を行う展示室の内容は、定期的に変わりますので、ぜひ公式ホームページをチェックしてみてください」(伊丹さん)

 

その5:生きた展示⁈ ポニーセンターで本物の馬とのふれあいも

5つ目の見どころは、馬の博物館に併設するポニーセンター。
GⅠホースのマイネルキッツ、マイネルネオスをはじめとするサラブレッドや、日本在来馬、ポニーなどの日常の飼養管理の様子を見学することができます。

マイネルキッツ/マイネルネオス

日本在来馬

「根岸競馬記念公苑には、貴重な資料をご覧いただける馬の博物館と、本物の馬と実際にふれあっていただけるポニーセンターがあります。
ポニーセンターでは、来苑者が馬とふれあうことができる体験型イベント『にんじんタイム』や博物館入館者を対象とした馬・ポニー・馬車の試乗会『乗馬デー』など、定期的にふれあいイベントを開催しておりますので、ぜひご参加ください。
イベントがない日も、厩舎や馬場での馬たちの様子を見学することができます。

ちなみに、ポニーセンターにいる日本在来馬のミカン(野間馬)、ゆき(北海道和種・どさんこ)、サンゴ(与那国馬)の3頭は、在来馬保護のためのチャリティーイベントなどで、競馬場や近隣のウインズ等に出張し、ご来場のお客様とのふれあいも行っています。
競馬ファンの皆さんにはおなじみのぬいぐるみ『アイドルホースシリーズ』にも3頭そろって採用されている人気者です(笑)」

≫日本在来馬についてはこちら

 

おまけ:馬の博物館のとっておきのお土産

さて、最後に馬の博物館を訪れたら、ぜひチェックして欲しいお土産をご紹介します。

「馬の博物館ミュージアムショップでは、これまで開催した特別展・企画展の図録や出版物のほか、所蔵資料をモチーフとしたオリジナルグッズなど、馬に関するさまざまなグッズを販売しています。
当館オリジナルのトートバッグやマルチスタンドケース、当時の根岸競馬場の様子が描かれたミニクリアファイルやポストカードなどがとくに人気です。
先ほどのポニーセンターでご紹介した、日本在来馬のアイドルホース(ぬいぐるみ)もこちらのミュージアムショップにて取り扱っております。

また日本在来馬を保護するための募金に100円以上ご協力いただいた方にはオリジナルバッジをプレゼントさせていただいております」(伊丹さん)
※在庫状況によっては、売り切れとなる場合もありますので、予めご了承ください。

いかがでしたか?
競馬ファン、馬好きにはたまらないこと間違いなしのスポットですね!
一日中いても飽きなさそうですが、入館料も100円(特別展・企画展開催時変更あり)という破格の料金です。 

また根岸森林公園の敷地内には、1930年(昭和5)に建設された根岸競馬場のスタンド(一等馬見所)もあります。当時そのまま残されているスタンドを眺めたり、コースがあった場所を想像しながら散歩をしたり、ひと味違った『競馬』を楽しむことができますよ。
皆さんも、ぜひ足を運んでみてくださいね!


取材協力:馬の博物館

■休館・休苑日
・月曜日(但し祝日・振替休日は開館)/年末年始/その他臨時休館
■開館時間
午前10時~午後4時30分(入館は4時まで)
■開苑時間
午前9時30分~午後5時
■入館料
大人100円 ※特別展・企画展開催時は変更あり/小中高生30円
※毎週土曜日は小中高生無料
■アクセス
JR根岸駅 2番乗り場から[横浜市営バス21系統・桜木町駅前行]乗車 、「滝の上」下車すぐ
※その他のアクセス方法は公式サイトをご確認ください

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