【今さら聞けない競馬学】障害レースを愛するトラックマンに、その魅力を聞いた!

2022/06/21

カテゴリ:馬のはなし / 色々なはなし / Pacallaオリジナル

 

今年の4月16日。オジュウチョウサンが11歳にして中山グランドジャンプを勝利したことは、普段は障害レースをあまり見ない競馬ファンでも記憶に新しいのではないでしょうか。今回は障害レースを愛するトラックマン! 競馬ブック美浦編集部の山下健さんに障害レースの基本の『キ』からその意外な魅力まで、今さら聞けない障害レースのお話を伺いました。

 

競馬ブック記者 山下健さん

山下 健(やました たけし)

『競馬ブック』美浦編集部。小学校3年生の頃よりTVゲームを通じて競馬にハマり、中学生のときに障害レースの魅力に気づく。大学時代はスポーツ新聞部に所属し、記者として馬術競技を追っていた。水産業界紙の記者を経て、2009年に競馬ブックへ入社。

 

競馬の障害レースに魅せられたきっかけ

 

―本日はよろしくお願いします。今回は普段は平地レースばかりを見ていて、障害レースをちゃんと見たことがない人向けにお話しを伺いたいのですが、その前に山下さんが障害レースを追うようになったきっかけなどを教えていただけますか?

 

山下:こちらこそよろしくお願いします。障害レース自体はトラックマンとして働く前から純粋にファンとして好きでした。小学校のときにダビスタやウィニングポストを通じて競馬にハマり、競馬雑誌などを読み漁っていく中で、やっぱり馬が障害を越えていくところはかっこいいですから、目にとまったんじゃないかと思います。中学2年のときにはネイティブの英語の先生と障害レースの話で盛り上がった記憶があるので、もう好きだったんでしょうね(笑)。

 

―ネイティブの英語の先生と…?

 

山下:はい、私の中学に来た先生がイギリス出身の方だったんですよ。なので、イギリスといえば競馬だろう!と思って「I like horse racing!」みたいなことを言ってみたわけです(笑)。そうしたら「お前はグランドナショナルってレースを知ってるか?」と言われて。「もちろん! 7200mだろ!(※1)」と答えました。彼は驚いて、今度は「よく知ってるな、お前! じゃあレッドラムって馬を知ってるか?」と聞かれまして。

(※1)当時のグランドナショナルの距離

 

―有名な馬だったんですか?

 

山下:私も当時はよく知らなかったんですけど、グランドナショナルを3勝してる馬なんですよね。実際に先生が「Three times winner!」みたいなことを黒板に書いてくれた覚えがあります。超名馬なんだよ!って話を、その後も休み時間にしてくれて。

 

―なんだかいい話…!

 

山下:当時はネットも黎明期だったので、すぐには調べられなくて。後から本を読んだらイギリスでは国民的な名馬でした。日本人がオグリキャップをみんな知っているくらいに、レッドラムはイギリスでは有名で。グランドナショナルを2勝したあとに不振に陥り、そこから再起して3回目の勝利をあげたっていう本当にドラマティックな馬だったようです。

レッドラムのことを調べているうちに、グランドナショナルというレースが自分で思っていた以上にすごいレースだということもわかってきて。BBC(イギリスの国営放送)で、イギリスダービーと並んで放送されるようなレースだということを知りました。先ほどの英語の先生の話を含めて、イギリスでは障害レースがこんなに愛されているんだと思ってなんだか感動したんですよね。

 

▲2022年イギリスのグランドナショナル(YouTube)

 

―その先生との出会いが、障害レースにのめり込むひとつのきっかけになっているかもしれませんね! また、競馬ブック入社後のことも教えていただけますか?

 

山下:美浦に来てから、毎週水曜日に週刊誌を美浦トレセンの北馬場に持っていくという仕事がありまして。でも、自分の役割としては本当に雑誌を持っていくだけで、正規の時計班ではないから採時するわけでもなく、結局いるだけみたいなところもあって。だったらその時間を活かそうと。控室などにいる障害ジョッキーを自主的に取材してみようと思ったのが始まりでした。

 

―受け身じゃない姿勢がすばらしいです!

 

山下:私、実は栗東にいたこともあって。そのときに、釣りのサークルにたまたま参加したんですけど、ワカサギ釣りがきっかけで、アップトゥデイトの主戦ジョッキーとして有名な、元障害ジョッキーの林満明騎手(※2)と話すようになったんです。それで美浦に異動してからも、林騎手が騎乗で関東に来るタイミングでお話をさせてもらうようになりました。当時、障害ジョッキーに張り付いて取材する人も珍しかったですし、自分の糧にできればと。

 (※2)現在は調教助手

 

障害レースってどんなレース?平地のレースとの違いは?

 

―さて。続いては、本当に基本の『キ』から教えていただきたいと思うんですが、障害レースとはどんなレースか改めて説明をお願いできますか?

 

山下:すごく単純にいうと…ご想像の通り、コースに置いてある障害をクリアしていくレースです(笑)。ただし、『いけ垣』『水ごう』『竹柵』『グリーンウォール(人工竹柵)』『バンケット(登り下りの坂)』『ハードル(置き障害)』などいろいろな種類の障害があります。馬術を知っている方だったら、総合馬術のクロスカントリーをイメージしてもらうといいかもしれませんね。

 

―確かに。言われてみればクロスカントリーに近いかも。

 

山下:実際に、事の起こりはイギリスでの外乗、クロスカントリーから始まっていると聞いたことがあります。世界の障害コースに目を向けると、本当に多種多様な障害レースがあってとてもおもしろいですよ。ヨーロッパだったかな? 人馬が水に浸かっちゃうような水ごう障害があったりとか。

 

総合馬術の障害についてはこちら!>

 

<日本の障害コースにある障害物>

▲いけ垣(The colonel of the lamb, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

▲水ごう(The colonel of the lamb, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

▲竹柵(The colonel of the lamb, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

▲グリーンウォール〔人工竹柵)(The colonel of the lamb, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

▲バンケット(The colonel of the lamb (talk) 11:43, 14 November 2009 (UTC), CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

▲ハードル〔置き障害〕(The colonel of the lamb, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 

―障害がある、ということ以外に平地のレースと違うところはありますか?

 

山下:斤量と距離でしょうか。斤量は平地のレースよりも重くなっています。これはスピードが出すぎないように、安全を考えてのことです。距離も、戦前は中距離の障害レースが結構あったようですが、現在は長距離ですね。

 

―なるほど。もしかすると距離についても、安全性を考慮してだんだん長くなっていったのかもしれないですね。ちなみに馬術競技の障害との違いはどうでしょうか?

 

山下:競馬の障害レースの場合、高さだけでいうと120cm~140cmくらいのものが多いですね。ハイレベルなコースだと160cmのものもあります。ただし、競馬の場合は障害の高さで競うことはありません。バーを落としたら減点とかもないですし、突破してゴールさえすればOKなんです。

 

―障害馬術も中障害が110~140cm、大障害が150~160cmくらいだそうなので高さは似ている感じがしますね。でもそうか、ちょっと引っかかっても突破できればOKなんですね。

 

障害馬術の障害物の高さについてはこちら!>

 

山下:以前、オジュウチョウサンが実は全然障害を飛び越えてない!みたいな動画が話題になったことがあって。それを見ると、本当に飛越はしていないですね。障害に突っ込んで、勢いと身体能力で突破しています(笑)

 

―おもしろい!! はやくゴールするためには、無駄に高く飛んじゃったりするより、勢いで突破したほうがいい場合もあるんですね。

 

<山下健のミニコラム①オジュウチョウサンは障害飛越が実は不得意?!>

オジュウチョウサンは確かに強い馬だけれど、純粋に『障害飛越』がうまい馬とはいえないと思っています。特に若いときは、フィジカルを活かして突破することが多かった。一生懸命飛ばなくても「こんなの軽く突破できるよ」と、本人も思っていたんじゃないですかね(笑)。きっとオジュウチョウサンは自分のからだの状態もよくわかっていているんだと思います。11歳になった現在は、身体能力で押し切るのではなく、以前より丁寧に障害を飛んでいるように思います。

 

障害レースの馬とジョッキーにはどんな特徴がある?

 

―続いては、障害レースの活躍馬と平地レースの活躍馬の違いをお聞きしたいです!

 

山下:今の平地の活躍馬は、芝もダートも、とにかく『反応の良さ』と『鋭さ』がありますよね。つまり、キレる脚がないと戦えないってことなんですけど、障害レースは逆にワンペースな方がいいような気がします。ギアがずっと上がらないんだけれども、ずっとそのスピードで走っていけることが大事なんだと思います。だから、平地レースのダートでズブさを見せているけど、でも止まってないっていう馬は障害で活躍することが多い気がします。速い脚がないだけで、平地の成績が上がらないっていう馬は、結構障害に向くタイプが多いんじゃないでしょうか。

それから、平地と比べるとペースが遅いのが基本なので、折り合いも重要だと思います。距離も長いし、しっかり折り合いをつけて、スタミナを残しておかなければならないですよね。

 

―馬の気性についてはどうですか?

 

山下:障害物に向かっていく馬なので、ある程度負けん気の強い馬が多いのではと思います。オジュウチョウサンもそうですし。障害ジョッキー曰く、障害レースは距離も長いしタフだから、気持ちの弱い馬だとめげちゃったりするそうですよ。

 

―フィジカルはもちろん大事だけど、そういう意味で猪突猛進タイプが活躍したりするのかもしれませんね。そういった馬を扱う上で、ジョッキー側に求められるものは何でしょうか?

 

山下:いかに馬がめげないようにやっていくかというのもジョッキーの技術が必要ですし、折り合いが大事なので、馬としっかりコミュニケーションがとれることが大事なんじゃないでしょうか。

以前、五十嵐雄祐騎手に障害ジョッキーとして、一番気にかけていることを聞いたことがあるのですが、『安全な馬をつくること』と言っていました。障害ジョッキーは、自分の乗る馬の調教から付きっきりでやりますし、障害試験前からコンビを組む場合も多いんです。人馬ともに外厩で丸太をまたぐところから始めることも珍しくない。本当に馬づくりから携わっています。

 

―それは相棒に対する思い入れも強くなりますね…! 人情派の人が多そう!

 

山下:これまで障害ジョッキーにお話を伺ってきて、人馬のコンビ愛みたいなものは間違いなくあると感じています。その絆は強いでしょうね。

もちろん乗り替わりもありますけど、乗り替わり前のジョッキーが調教をつけていたりもしますし。ファン目線でいうと、そういったコンビ愛のようなところも障害の魅力のひとつだと思います。ジョッキーと馬が一緒に歩んでいく姿を追うのはファンの醍醐味じゃないですかね。

 

―最近は推し活なんて言葉もありますが。パートナーがずっと変わらないのというのは、推しがいもありますよね。

 

<山下健のミニコラム② 藤沢和雄厩舎には障害ジョッキーがいっぱいだった!?>

平地から障害にやってくる馬というのは変な癖を持っていたり、気性面の難しさから走らなかったりする馬も多いんです。その分、障害ジョッキーは経験をたくさん積んでいます。今年の2月末に引退された藤沢和雄調教師は、平地の馬の調教スタッフとして、障害ジョッキーを多く起用していました。きっと、障害ジョッキーの技術を買っていたんじゃないかなと思います。

 

障害レースっていつどこで見られるの?

 

―ここまでのお話を聞いて、実際に障害レースを見に行きたいという人も、ちらほら出てくるのでは?! と思うのですが、いつどこにいけば見られますか?

 

山下:中央競馬の札幌・函館以外の競馬場では全部やっていますよ。ただ、2013年頃からは、多くが新潟・福島・中京などのローカル開催になっています。また、平地レース同様に土日で開催しています。ただし、1日に1レースしかなかったりするのでそこは要注意です。

 

―平地でいうクラシックのような、ファンがわくわくしちゃうようなレースはありますか?

 

山下:やっぱり、中山大障害と中山グランドジャンプですね。障害のG1レースというのはこの2つだけなんです。中山の障害コースは、他の競馬場とは全然違って。谷もあるし、160cmの大いけ垣があったり、大竹柵があったり。特別な障害コースなんですよね。唯一無二!

中山競馬場の大いけ垣(提供:山下健)

▲中山競馬場の大いけ垣(提供:山下健)

中山競馬場の大竹柵(提供:山下健)

▲中山競馬場の大竹柵(提供:山下健)

▲中山競馬場の谷〔上から〕(提供:山下健)

▲中山競馬場の谷〔上から〕(提供:山下健)

▲中山競馬場の谷〔下から〕(提供:山下健)

▲中山競馬場の谷〔下から〕(提供:山下健)

 

―中山の障害コースって、他とそんなに違うんですね!

 

山下:特にグランドジャンプは平地を入れたとしても、日本の競馬で一番距離が長いですからね。中山は障害の難易度も他のコースとは全然違いますね。数も多いし、とにかく過酷なんですよ。大いけ垣や大竹柵は、中山大障害と中山グランドジャンプでしか見られない障害なので、そこをクリアすると観客から拍手が起こったりもします。そういうところも見どころですね。

 

▲2021年中山大障害(YouTube)

 

▲2022年中山グランドジャンプ(YouTube)

 

 

―直近6月25日に開催される東京ジャンプステークス(G3)についてはどうですか?

 

山下:中山大障害と中山グランドジャンプはあまりに過酷なので、馬を選ぶところがあるんです。経験も必要ですし、強い障害馬でも避ける場合があります。他のコースで好走している強い馬でも中山には向かないことがあるんですよ。

一方で、東京ジャンプステークスや東京ハイジャンプというのは、いろんなタイプの強い馬が一緒に出てくるおもしろいレースです。中山には向かない馬も勝てるチャンスがあるし、逆に中山が合うようなタフさが売りのタイプも頑張れるコース。平地でいうと天皇賞秋(東京2000m)って、頑張ればマイラーも走れるし、2400mの馬もチャンスがあるレースですよね。東京ジャンプステークスはそんなレースと思っていただければ。なので、この2つのレースは毎年メンバーがいいんですよね。

 

―わかりやすいです(笑)。いろんな馬にチャンスがあるから、予想するのも楽しそうですね。

 

前走チェックが超大事。障害レース初心者に予想アドバイス!

 

競馬ブック 記者  山下健

 

―初めて障害レースの馬券を買う場合、どういった予想の仕方がおすすめですか?

 

山下:障害レースは長い距離を走るし、障害物もいろいろあるし、平地と比べると新聞だけじゃレースぶりがわかりにくいんです。なので、事前にJRAのサイトに掲載されている前走の動画などをチェックするといいと思います。

特に注目して欲しいのは最後にどれだけ脚を使っているか。タフなコースの最後の直線で余力をどれだけ残しているかがポイントです。特に未勝利戦などは、スタミナを残せずに帰ってくる馬が多い中で、最後にビューン!と伸びてきて、スタミナを残せている馬というのは力がある証拠!

 

―これはいいことを聞きました!

 

山下:ほかにも「スクーリングをした」というコメントがある馬はおすすめです。スクーリングというのは、事前に実際に走るコースを馬に見せることなんですけど、ジョッキーの皆さん曰く、馬がコースを知っているのと知っていないのじゃ全然違うそうです。

 

―障害物がいろいろあるから、余計に下見が重要なんでしょうね。

 

山下:また現地で観戦すると、そのデータを次に活かしやすいのも障害レースの特徴ですね。障害レースは距離が長いので、馬がかなりバラけて走ります。着差が開いてしまうんです。そうなると公開されている動画ではチェックしきれない馬も出てきます。そういう馬券的な意味でも、障害レースは現地で見るのがおすすめですよ!

障害レースは、意外と馬券の予想としてはわかりやすいので、競馬初心者の人も楽しみやすいと思います。1日に1レースくらいしかないので、非常に追いかけやすいですし。5~6頭が前走と同じメンバーだなんてレースもありますよ。

 

―コースや障害物の難易度については、予想ファクターになりますか?

 

山下:一番押さえておくべきなのは『固定障害』と『置き障害(=ハードル)』があって、そこは難易度が違うってことですね。もともとコースに設置されている固定障害の方が奥行もあるし、置き障害の方が難易度は低いです。例えば、新潟・中京は平地のコースに置き障害を設置したコースなので、レースの質自体がちょっと違うとか、そういうことは覚えておくといいかもしれません。

 

―新潟・中京で好走しているからといって、中山で好走できるとは限らないということですね。

 

山下:そうですね。あとは竹柵よりいけ垣のほうがかき分けにくいとか、そういうところでも難易度がかわってきます。馬ごとの得手不得手もありますね。

 

―得手不得手でいうと、水ごうとか苦手な子が多いんじゃないですか?

 

山下:総合馬術のクロスカントリーは障害の手前に水ごうがあるので、先に水面が見えて嫌がる馬が多いようですが、障害レースは障害の向こう側に水ごうがあって、飛ぶ前には目に入らないので総合馬術ほどは影響がないようです。

 

―なるほどー!!

 

「多くの人に障害レースを見てもらいたい」山下さんからのメッセージ

 

競馬ブック記者 山下健

 

―山下さん、今日はたくさんの貴重なお話をありがとうございました。最後にPacalla読者にこれはぜひ伝えたい! ということがあればお願いします。

 

山下:以前、ある有名競馬ライターさんが「障害があまり好きになれない、感情移入できない」と言っていたことがあるんです。それはなぜかというと、障害レースは繁殖につながっていかないから。私もオジュウチョウサンはスーパースターだと思っていますが、じゃあオジュウチョウサンが仮に種牡馬になったとして、人気がでるかというと(平地での実績があるわけではないから)、決してそうではないと思うんです。牝馬の場合も、障害の実績をいくら積み重ねても、その子どもの評価が高まるかというと現状はそうじゃない。

先ほど例に挙げたライターさんは「障害レースは造花なんだ」って言っています。確かに美しいかもしれないけど、造花は子どもを残せないっていうことなんです。

障害レースは飛越のダイナミックさだったり、かっこよさだったり…感動する場面がたくさんあるけれど、『生産』というところに焦点をあてたときに、なかなかそこにつながっていかないという現実があるんですよね。

 

―そうですね。冒頭でお話いただい通り、イギリスでは障害レースが非常に人気ということですが、海外ではどうなんでしょうか? 日本でも障害レースの人気が出ることで、そういった障害で実績を残した馬たちの血脈がつながっていく可能性が少しでも上がればいいのですが…。

 

山下:海外では平地の長距離で活躍した馬が障害専門の種牡馬になって、そういうカテゴリの中で評価を得たりすることがあるようですが、日本は残念ながらまだその土壌がないですよね。もっとも、海外も障害馬はほとんどがセン馬なので大きく状況は変わらないようですが…。

近年オジュウチョウサンが活躍して、障害レースが注目を集めました。これを一過性のものにしないで、もっと障害レースの注目度を高めていくことが必要だと思います。まだまだ、やれることはいっぱいあるんじゃないかと思いますし、この記事を読んで、少しでも障害レースに関心をもってくれる人が増えればうれしいです。

 

<山下健のミニコラム③ 林満明騎手、石神深一騎手との思い出のパネル>

2017年の中山大障害。オジュウチョウサンとアップトゥデイトの一騎打ちが大注目されました。私も石神騎手の勝利ジョッキーインタビューを現地で聞いていました。その後、アップトゥデイトに乗っていた林騎手が引退するということになりました。本来であれば、負けてしまったレースの写真にサインをお願いするのは失礼なことですが、林騎手の引退レースのあとに、あの日の一騎打ちのシーンをおさめた写真に林騎手、石神騎手、お二人のサインをいただきました。林騎手は「えー、負けたレースの写真~?(笑)」といいつつサインしてくれました。入社時から障害ジョッキーを追ってきた集大成がこのパネルかなと思っています。

 

 


 

ずっと障害レースを追ってきた山下さんだからこそ語ることのできるお話の数々。皆さん、いかがでしたか? 障害レースに興味は持っていただけたでしょうか。今週末、6月25日(土)には東京ジャンプステークスが開催されます。これを機にぜひ注目してみてくださいね。

 

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