Pacalla馬図鑑 アパルーサ編

2021/08/04

カテゴリ:馬のはなし / Pacallaオリジナル

 

こんにちは! Pacalla 編集部のやりゆきこです。『Pacalla 馬図鑑』シリーズは、さまざまな馬の品種を紹介していく連載企画です。本シリーズでは馬の歴史や特徴などの基本情報だけではなく、その品種にまつわる逸話や私の個人的な見解などをちょいちょい織り交ぜながらお話していく(そこは、茶飲み話くらいに思ってくださいませ!)、ちょっと変わった図鑑です。どうぞよろしくお願いします!

 


アメリカで大人気!ブチ毛が特徴のアパルーサ

今回ご紹介する品種『アパルーサ(Appaloosa)』は、ブチ毛やまだら模様が特徴的なウマです。原産国はアメリカで、1975年には『アイダホ州の馬』にも選ばれており、欧米では非常にポピュラー。アパルーサの基となったスペインの馬にブチ毛が多く、それらが18世紀に入り(16世紀説もあるが…)アメリカに持ち込まれ、改良されていったため、アパルーサにはブチ毛多いそうです。

 

日本では一般的に中間種に位置づけられている馬ですが、体高は144-162cm、体重は430~570kgとかなり幅があります。その理由を明言している資料を見つけることはできませんでしたが、アパルーサの血統登録機関(Appaloosa Horse Club)によると、サラブレッド・アラビアンホース・クォーターホースの血を加えることが認められているなど、品種改良において、いくつもの品種を用いてきたため、このように幅があるのかもしれません。

 

 

アパルーサはブチ毛だけじゃない!その他の特徴

次に、アパルーサ=ブチ毛といったイメージがありますが、ブチ毛やまだら模様以外に、見た目の特徴はどんなものがあるのでしょうか。今回は5つほどご紹介したいと思います!

 

【その1】たてがみや尻尾の毛は少なめ!

一般的にアパルーサは、たてがみや尻尾の毛量が少ないといわれています。しかし、最近のアパルーサ生産者は、たてがみや尾の薄い系統を出さないように改良を重ねているそうで、近年ではたてがみや尻尾がフサフサのアパルーサが増えているとのこと!

▲なるほど、ちょっとたてがみは少なそう…?かも…?

 

【その2】蹄は丈夫で、縦じまの線がある!?

アパルーサの蹄はとてもかたくて丈夫です。また縦じまの線が入ってる個体も多いそう。こんなに細かいところまで模様が入っているなんて、さすがアパルーサ!おしゃれですね。ただし、蹄の縦じまはアパルーサとして認められる絶対条件でないとのこと。

▲縦縞模様が入ったかたくて丈夫な蹄(画像が入手できなかったため簡単なイラストで失礼します…)

 

【その3】白目がクール!?

一般に、馬の目というと黒目がちで、くりっとした目を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、アパルーサは白目が目立つ個体がとても多いです。いわゆる三白眼というやつでしょうか。個人的には三白眼の馬(いや、人間もかな…)のクールに見える感じがとてもすきです!!

▲白目がはっきり見える!

 

【その4】顔の形がきれい

アパルーサは顔の形がきれいだといわれています。何をもってきれいとするかは意見の分かれるところですが、写真を片っ端からから見ていくと、アパルーサにはいわゆるサラブレッドでいうところの『直頭』タイプが多いのかな?と思いました。直頭とは額が広く、額から鼻梁にかけて美しい直線を描いている頭の形のことをいいます。

▲額から鼻梁までのラインに凹凸がなくまっすぐ

 

【その5】お尻に傾斜がある

さらに細かな部分の話をすると、アパルーサのお尻は傾斜が特徴的といわれることもあります。具体的にお尻のどの部分を指しているのかを示した資料を見つけることはできませんでしたが、馬用語で『斜尻』という言葉があり、お尻の一番高い部分から尾根までのラインの傾斜のことを指しているので、この部分のことなのでは…?と予想。下図のアパルーサのお尻を見ると、そう言われてみればサラブレッドとかより傾斜が急かな…?といった印象です。

▲この傾斜が急?かも…!

 

実はブチ毛だけじゃなかった!毛色と柄のバリエーション

ここまで、散々アパルーサはブチ毛だ!といったような話をしてきて恐縮ですが、実はアパルーサ、非常に毛色や柄のバリエーションが豊富です。今日は、その中でもオーソドックスな5つのパターンをご紹介したいと思います。

▼レオパード(まだらだが、点がポツポツあるのではなく地図のようなタイプ)

▼マーブル(ダルメシアンみたいな細かい黒い点があるタイプ)

▼ブランケット(頭からお腹あたりまでが無地、お尻の方がマーブル)

 

▼スノーフレーク (黒い毛の上に白い斑点。雪の薄片が散っているような感じ)

▼フロスト(茶色や黒い毛の上の全体に雪が薄っすら積もった感じ)

また、毛色についても、鹿毛・青毛・栗毛・月毛(パロミノ)・芦毛・佐目毛・河原毛・白毛・粕毛・薄墨毛など非常にバリエーションが豊富です。

 

<豆知識>
ちなみに!!斑点がないアパルーサ、すなわち無地の個体もいます。それを正式なアパルーサとして認めるかどうかは、昔から意見が分かれるところでしたが、現在は認められるようになりました。ただし、認定には地肌の部分がまだらでないとダメなど細かい規定があるそう。また無地の親から生まれた仔馬がブチ毛ということは少なくありません。

 

生命力が強い!? 粗食にも耐えられるからだ

アパルーサは利口で、持久力、生命力が強いといわれています。生命力が強いといわれる所以は、粗食にも耐えられる強いからだを持っているところからきているようです。ただ、アパルーサがもともとそういった性質だったわけではなく、人間がこのような強い個体を残すかたちで繁殖を進めてきた結果なのだそう。また用途としては、ウエスタン乗馬のイメージが強いアパルーサですが、能力的にはブリティッシュの境地(馬場馬術・障害馬術)もこなすことができます。

 

<豆知識?!>
以前のPacallaの取材中にクォーターホースとアパルーサを多く飼育している方にお会いする機会があったのですが、『アパルーサの方がちょっと怒りっぽい性格の子が多いかも(笑)』なんてお話を伺ったこともあります。

 

アメリカンインディアン! ネズ・パース族が愛した馬

先ほどから、アパルーサは人間が改良してきたんだよ~ということを散々書いてきました。では、どんな人たちがアパルーサの繁殖を行ってきたんでしょうか? それに、まず挙げられるのがアメリカンインディアンのネズ・パース族です。彼らが住んでいた地域は、馬の飼育にとても適した場所だったため、そこでアパルーサの繁殖や改良が行われはじめました。

『アパルーサ』という名前も、ネズ・パース族の居住地域に流れるパルース川に由来しています。『a Palouse horse』の『a』と『Palouse』の境目が時の経過とともに不明瞭になり、さまざまな変化を経て、最終的にアパルーサとなったようです。(アパルーシー、なんて呼ばれている時代も!)

後に、ネズ・パース族とアメリカ政府の間で戦争が勃発し、ネズ・パース族がアメリカ政府の騎馬隊を巻いて、2000km(資料によっては1600km)の道のりを逃げ切ったという逸話があります。これも、ネズ・パース族がアパルーサという生命力、持久力の強い馬に乗っていたおかげだといわています。また、大変悲しいことですが、当時のアメリカ政府からすると、アパルーサは敵の馬。それゆえ、アパルーサは殺戮の対象だった時期があり、瞬く間に数が減ってしまいました。

しかし、生き残ったアパルーサを繁殖させ、細々と血をつないでいったことで、1938年には血統登録団体アパルーサ・ホース・クラブ (略称ApHC) の設立が叶いました。数を増やしたアパルーサは、今ではアメリカでは大変ポピュラーな馬となりました。

 

<豆知識>
1994年からネズ・パース族は前回のPacalla馬図鑑で紹介したアハルテケとアパルーサの交配を進めていました。どちらも持久力がある馬なので、うまくいけばすごい持久力を持ったの馬が生まれる・・?!かも。
Pacalla馬図鑑 アハルテケ編はこちら≫


◆◆◆

ブチ毛の愛されホース、アパルーサ。いかがでしたか?

アメリカンインディアンの話をしたので、異国の馬のイメージが強くなってしまったかもしれませんが、実は、意外と日本でもアパルーサに乗ることができます。アパルーサはホーストレッキングにもよく採用される品種なので、馬に乗ったことがない人も、常歩や速歩くらいであれば乗れる可能性がありますよ! ぜひ『ホーストレッキング アパルーサ』等で検索してみてくださいね!


<参考文献・WEBサイト>
・図説 馬と人の歴史全書 (日本語) 単行本|キャロライン デイヴィス(1997年発行)
・世界で一番美しい馬の図鑑 | タムシンピッケラル(2017年発行)
・馬体は語る 最高に走るサラブレッドの見つけ方 |治郎丸敬之(2018年発行)
・ウマの博物図鑑|デビー・バズビー/カトリン・ラトランド(2021年発行)
・アパルーサ・ホース・クラブ 公式ハンドブック 2021(2021年発行) 
Extension Horses.Inc
Appaloosa Museum
the Appaloosa Horse Club 

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