東京オリンピック2020!初心者でも楽しめる『総合馬術』観戦ガイド

2020/04/08

カテゴリ:色々なはなし / Pacallaオリジナル

 

こんにちは!Pacalla編集部です。皆さんは『総合馬術』という馬術競技をご存じでしょうか?

第1回は『障害馬術』、第2回は『馬場馬術』の基本的なルールやオリンピックにおける大会の仕組みなどをご紹介してきましたが、今回は『総合馬術』についてお届けしたいと思います。

新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックも延期が決定しました。世界中、大変な状況が続いていますが、来年には笑顔で代表人馬を応援できることを願って、“馬術競技観戦の予習”にこの記事を役立てていただければ幸いです。

障害馬術の紹介はこちら≫
馬場馬術の紹介はこちら≫

 

総合馬術とは?見どころは?

総合馬術は『馬場馬術競技』『クロスカントリー競技』『障害馬術競技』の3種目を、同一人馬ペアで3日間かけて行うトライアスロンのような競技です。

左から順に『馬場馬術競技』『クロスカントリー競技』『障害馬術競技』

1日目は馬に柔軟性のあるしなやかな動き、選手の指示に従順であることが求められる『馬場馬術競技』、2日目は自然に近い状態の地形に竹柵、生垣、池、水濠、乾壕などのボリュームのある障害物が設置されたハードなコースを走行する『クロスカントリー競技』を行います。そしてクロスカントリー競技の翌日に、審判員と獣医師によるホースインスペクション※を実施。審査に合格した馬だけが、3日目の最終種目『障害馬術競技』に参加することができます。

※ホースインスペクション:馬が競技への参加を続けるだけのコンディションにあるかどうかをチェックする

 

▼総合馬術デモンストレーション(3日間の流れを解説!)


2018年のクリスマスホースフェスタで行われた総合馬術デモンストレーションの様子です。
実際には3日間かけて行われる総合馬術競技の流れを10分間に凝縮し、解説しています。

 

総合馬術の見どころは、何といっても2日目のクロスカントリーです。東京オリンピックでは、東京都江東区青海三丁目地先『海の森』に、40個を超える障害物を設置した約4500mのコースが作られます。そのハードなコースを分速570m(時速34.2km)のスピードで駈け抜け、いくつもの大きな障害物を飛び越えていく姿はダイナミックで迫力満点!

また選手は事前にコースの下見をしますが、馬たちは事前にスクーリングなどは行わず、本番で初めて障害を目にするというから驚きです! 騎乗技術はもちろんですが、人馬の信頼関係があってこその競技といえるでしょう。

自然を活かしたボリュームのある障害物

 

≪豆知識!クロスカントリーの障害物はとってもキュート⁈≫

クロスカントリーに用いられる障害物は、大きさや自然の地形を活かした点に注目が集まりがちですが、もう一つ見どころが! それは『かわいらしさ満点!』のキュートでポップな障害物です。過去の世界選手権、オリンピックでは果物や生き物をモチーフにしたものなどが使われました。

りんごと青虫がモチーフになった障害物こちらはミツバチがモチーフ!
最後は、一見ただの池のようですが、よく見ると魚が隠れています!

 

総合馬術の基本的なルールを知ろう

総合馬術競技は馬場馬術競技・クロスカントリー競技・障害馬術競技の3種目を同一人馬のコンビネーションで3日間をかけて行い、その3種目の減点合計の少ない人馬が上位となります。では、実際にどのような減点方法がとられているのでしょうか。

まず、馬場馬術は得点率(%)を減点に換算(100-得点率)します。

▼総合馬術における馬場馬術の減点(例)


得点率についての詳細はこちら>

 

クロスカントリーは1回目の反抗※で減点20、2回目の反抗で減点20、3回目の反抗で失権です。ただし、同じ障害物で2回目の反抗があった場合は減点40。また、規定タイムの超過は1秒につき減点0.4となります。

※反抗=馬が障害物の飛越を拒否するなどの行為

▼クロスカントリーのペナルティ(まとめ)

 

障害馬術は障害物が1回落下すると減点4。1回目の反抗で減点4、2回目の反抗で失権です。規定タイムの超過は1秒につき減点0.4となります。

▼総合馬術における障害馬術のペナルティ(まとめ)

 

≪豆知識!ホースインスペクションでは何がチェックされる?≫

前述の通り、クロスカントリー競技の翌日の行われる、審判員と獣医師によるホースインスペクションに合格しないと、人馬は3日目の最終種目『障害馬術競技』に参加することができません。
ホースインスペクションでは傷の有無、歩様、全身状態などがチェックされます。また必要に応じて審査項目が追加されることもあるそう。選手やスタッフは、馬のコンディションを維持するために、あらゆるケアをしてインスペクションに臨んでいます。

 

総合馬術における『障害馬術』『馬場馬術』の難易度

Pacallaでは過去に、「初心者でも楽しめる『障害馬術』観戦ガイド」「初心者でも楽しめる『馬場馬術』観戦ガイド」の2つの記事を公開しています。では、今回の『総合馬術競技』における『障害馬術競技』『馬場馬術競技』は、これまでにご紹介した障害馬術、馬場馬術とどのような違いあるのでしょうか。

まず、オリンピックで行われる通常の障害馬術競技では、障害物の高さが最低でも140cmあります。しかし、総合馬術の障害馬術競技では130cmと障害は少し低くなります。

また、オリンピックで行われる馬場馬術(グランプリ)では、パッサージュやピアッフェといった『最高難度の運動』が要求されますが、総合馬術の馬場馬術競技では、そこまでの運動は要求されません。馬が選手の指示に素直に従って、のびのびと大きく動いていることが求められます。

 

オリンピック総合馬術、決勝までの道のりは?


総合馬術はもともと3種目を行うものであるため、障害馬術や馬場馬術のように予選や決勝という概念が基本的にはありません。ただし、オリンピックにおいては団体戦と個人戦を兼ねて競技を実施しており、3種目を終えた段階で、まず最終的な団体順位が決定します。

さらに個人としてTOP25に入った人馬がもう一度、障害馬術競技を行います。つまり、個人戦の最終的な1~25位までの順位は『馬場馬術+クロスカントリー+障害馬術+障害馬術』の4つの合計減点で決定するということです。

 

≪豆知識!総合馬術チームの実力は十分。日本のメダル獲得も夢じゃない≫

日本の総合馬術チーム(団体戦)は2018年のアジア競技大会で金メダルを獲得し、個人戦でも大岩義明選手とバートエルJRA(馬名)が優勝しました。その直後に行われた世界選手権でも、日本は団体戦で4位入賞を果たし、世界の強豪国に対して存在感を示しています。実力十分の日本チーム、東京オリンピックでのメダル獲得も夢ではありません!

 


 

いかがでしたか?
これまで馬術に興味がなかった方も、ダイナミックで迫力満点の『総合馬術』を観戦すれば心躍ること間違いなし! 新コロナウイルスの影響により開催が少し先になりますが、東京オリンピックを機に、ぜひ総合馬術の魅力にも触れていただければ幸いです。

協力:日本馬術連盟
協力:ホースフェスタ(動画提供)

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