重賞制覇レポート『アナザートゥルース』岡田スタッド 編(ダイオライト記念)

2020/03/27

カテゴリ:馬のはなし / Pacallaオリジナル

 

3月11日に船橋競馬場で行われた交流G2・ダイオライト記念。話題を集めていたのが、サウンドトゥルーとアナザートゥルースの兄弟対決でした。岡田スタッドが擁する名繁殖牝馬キョウエイトルースの産駒2頭による初対決を制したのは4つ下の弟でした。

(左)岡田牧雄さん(右)岡田壮史さん

 

アナザートゥルースは大外枠からスムーズに先行すると途中でハナを奪い、そのまま押し切って2馬身差の完勝。3角から兄がロングスパートで競りかける熱い展開になりましたが、絶好の手応えのまま涼しい顔で振り切りました。昨年のアンタレスSに続く重賞2勝目。「(前半から)楽に行けていましたね。今回は左回りなので(片側)ブリンカーも外しました。やっぱり左回りがいいですね。サウンドトゥルーが何とか2着に来てほしくて、途中からはサウンドを応援していました」。こう振り返ったのは同馬も所属するノルマンディーオーナーズクラブの代表も務める岡田壮史さん。サウンドトゥルーはウェスタールンドにかわされて3着に敗れましたが、馬券圏内に入り10歳の古豪の意地を見せました。

キョウエイトルース

キョウエイトルース

 

母のキョウエイトルースは1番子のコンフォーコ(父トワイニング)をおなかに宿した状態で、インターナショナル牧場から購入しました。今年で22歳になりましたが、産駒10頭のうち9頭が勝ち上がり、重賞7勝を含む44もの勝利を積み重ねる功労馬です。

受胎がそんなにいい方ではなかったトルースに、抜群の受胎率を誇るアイルハヴアナザーをかけ合わせて生まれたのがアナザートゥルースでした。「てこずった種牡馬の時もありましたけど、アイルハヴアナザーは一発で受胎しましたね」と壮史さん。「この母親はみんな父親の特長を出すんだよ。父がロージズインメイだったら脚長の子を出すんだ」と岡田スタッド代表の岡田牧雄さんが教えてくれたように、父譲りの見栄えのする大きな馬体で生まれてきたそうです。

体形が父譲りなら、気性は母親似でしょうか。すぐ脚を上げて人を蹴ろうとするような気性の勝った面があるキョウエイトルースは出産後も熱心にかわいがるタイプではなく、ある時アナザートゥルースのお尻の毛が抜けていたことがあったといいます。「たぶん、しつこく乳を飲むからかじられたんでしょうね(笑い)」と壮史さん。キョウエイトルースの産駒は「チャカチャカしながらも、みんな真面目」(壮史さん)だそうですが、アナザトゥルースの場合は母親に怒られても乳を飲むことをやめなかった、たくましさや生命力、芯の強さが活躍につながっているのかもしれません。

「このきょうだいは4歳の秋になれば走るから、それまでは無理しないと決めている」と岡田スタッド代表の岡田牧雄さんが言うように、アナザートゥルースも3歳3月と馬に合わせたデビューでした。「うちでも真っすぐに走れなくて、3歳の時はフル装備でパドックを歩いていましたね。新馬戦はずっと(ハミを)かんじゃって、能力で勝ったようなものです」と壮史さん。馬っけがきつくて3戦目のあとには去勢手術を行いましたが、この馬なりのペースで緩やかに成長曲線を描きながら重賞2勝目にたどり着きました。「今年、来年と無事に走ってくれたら。これでG1に挑戦できそうなので楽しみです」と壮史さんは今後に期待を膨らませます。兄のサウンドトゥルーは7歳秋にJBCクラシックを制覇。血統背景からもまだ伸びしろがあるはずで、今年はさらなる高みを目指します。

 そして、期待を抱かずにいられないのが父モーリス(2歳)と父ロードカナロア(1歳)の半弟2頭。父モーリスの2歳は牧雄さんが「トルースの子で筋肉量が多くて、こんな立派な体なのは初めて。モーリスの子は前進気勢がすごいね」と声を弾ませる出来です。父ロードカナロアの1歳は素直そうな顔つきが非常に印象的でした。ファンを沸かす兄たちの背中を追い、デビューを果たすその日が楽しみです。

キョウエイトルース産駒(1歳)
キョウエイトルース産駒(1歳)

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