【魅せる!360°競馬映像】 船橋競馬場ハートビートVR

2019/04/30

カテゴリ:Pacallaオリジナル

こんにちは!Pacalla編集部です。
皆さん、少し前に船橋競馬場のクリーン大作戦の様子をレポートさせていただいたのは覚えていらっしゃいますか? 先日、あの船橋競馬場さんから、新たなニュースが舞い込んできました。
なんとGW最終日の5月6日に船橋競馬場でジョッキー体験ができちゃうVR企画『船橋競馬場ハートビートVR』がリニューアルスタートするんだそう。
一般公開に先がけて、Pacalla編集部がハートビートVRの仕掛け人、千葉県調教師会広報の大久保薫さんにお話を伺ってきました!

 

千葉県調教師会広報:大久保薫さん千葉県調教師会広報:大久保薫さん

 

-初めに『船橋競馬場ハートビートVR』とはどんなものか概要をお教えいただけますか。

ハートビートVRはジョッキーの頭に360°撮影ができる小型カメラを実際の調教の時につけてもらい、それを船橋競馬場のお客様にVRで体験してもらうという企画です。
5月6日から競馬場内にてイベントブースを設け、どなたでも無料で体験してもらうことができます。

 

―どういった経緯でこの企画を実施することになったんでしょうか。

以前、私は車関係の仕事をしていて、オートレース場でのイベント開催なども行っていました。そのイベントなどを見た、今は亡き川島正行調教師が『おまえ、船橋競馬場でもなんか面白いことをやれ』と声をかけてくれたんです。
そこで頭を悩ませたわけですが、車やバイクはサーキットに行けば誰でもまねごとができますが、そういえば競馬は誰もまねができないなと気がつきました。馬を持っている馬主さんさえもレース中の鞍上からの景色は見ることができないんです。

ジョッキーが見ている景色を見てみたい、それをお客さんにも見てもらいたい。そして船橋競馬場を盛り上げたいと思ったのが、ハートビートVRの撮影をしたきっかけです。
競馬に関わらせてもらって10年ほどたちますが、実はフリオーソが引退する1年前くらいから考えていたので、8年前から構想はありました。

 

―8年前だと、VRの技術って今のように発達はしていなかったですよね。

そうですね(笑)。実際に8年前にフリオーソの調教中にGoProをつけて撮影もしました。最初のVR撮影は約2年前。当時のGoProはリュックを背負って、そこから棒を出して、360°撮影するために球体状にGoProを6個つけて、カメラがぶらぶらしている状態で…、ちょっとこれをつけて馬を走らせるのは怖いなと思いました…。

 

―なるほど…それは確かに危険ですね…。
今回のVR撮影については、関係者の皆さんの反応はどうでしたか?

約2年前の経験があったので、逆に最新の360°カメラには皆さんあまり拒否反応はなかったようです。ジョッキーの皆さんも『これだったらつけて走っても、普段と大して変わらないよ!大丈夫』と太鼓判を押してくれました。
私自身も最新の360°カメラなら『見たかった景色がほぼ完璧に見られるのでは』と思いました。ですが、別の部分で試行錯誤がたくさんありました。

 

-例えば、どのような部分ですか?

実は今回5月に公開するVRは第2作なんです。
昨年の4月に前作を公開していて、最初は上出来だと思っていたのですが、納得いかないところがでてきまして…。

前作はナイター、馬3頭で撮影したんです。競馬場内での評価は上々でした。ところがその評価を受けて、ららぽーとや千葉の物産展など、競馬場以外の場所で複数のお客さんに「これ?どこなの?」と言われてしまったんです。

船橋のレースは基本的にナイターなので、船橋競馬場らしさを出そうとナイターで撮影しました。しかし、競馬場のことをよく知らない人にはどこだかわかりづらいんです。
それで今作は日中に撮影し、船橋競馬場の向かいにあるららぽーとの方向に向かってゴールする。そのときに左側にIKEAの看板がちょっと映るようにするなど、競馬場の中を知らない人たちが見慣れている景色が映り込むように工夫しました。

 

-『船橋競馬場を盛り上げる』という大目的に向かって、軌道修正したわけですね!
そこまで考えて作られているとは…!

それに加えて、前作は馬の頭数が少なかったので、最終的に2頭が競りすぎてしまって、一般の方がVR体験をしたときに、自分が勝ったことがわからないという問題もありました。
そこで今作は船橋のトップジョッキー6人に『基本的にはお任せだけど、絵としては逃げ、差し、追い込みが欲しいです(笑)』と、お願いして。そんなざっくりしたオーダーでしたが、ジョッキーたちの阿吽の呼吸と馬の性格に合わせて、逃げるジョッキー、砂を被りたくないジョッキー、ノリの良いジョッキーといったキャラ分けがしっかりできていました。

 

-さすがトップジョッキーの皆さんです。ざっくりしたオーダーでもそこまでできるなんて!
そのほか撮影に関して苦労された点、不安だった点などはありますか?

船橋競馬場はアットホームで、関係者の皆さんがすごく協力的でした。主催者の千葉県競馬組合の方々もこの件については私を信頼して『任せます!』と言ってくれましたし、とても理解がありました。
調教師の皆さんも調教時間の調整により馬場を貸し切っていただいて、ジョッキーも賛同してくれて…。休日なのに、撮影のためだけにスタートゲートの方も協力してくれました。そして前作を見た馬主さんたちも『うちの馬使っていいよ』と声をかけてくれました。

 

 

ですが、撮影の1ヵ月前になって『調教の一環であっても馬の調子が狂ってしまうのではないか』という懸念がでてきました。というのも、すべての馬がそういうわけではありませんが、ゲートを1回通るとそれで『レース1回分』にカウントしてしまう馬もいるようなんです。
既に関係各所からOKをもらっていて、撮影までの段取りはできている。でも当日、『馬が集まりませんでした』という状況も想定に…と、撮影当日まで胃がずっとキリキリしていましたね(笑)。

もうひとつ、私の行動が事故やトラブルにつながったとしたら?馬に何かあったとしたら?そういう不安は常にありました。
車関係の仕事をしているときもリスクはあるのですが、例えば撮影のときに車の仕事だったら『今日はちょっとゆっくり走ってね』『かっこよく走ってね』とか、そういうコントロールがある程度はできるんです。でも、今回の相手は現役競走馬ですから『今日撮影だから気をつけてね』なんて言えないじゃないですか(笑)。

実際は、当日6頭の馬が集まってくれてホっとしました。あいにくの雨でしたが、ジョッキーたちはやる気満々で、終わった後も『次は晴れてる日にやろうぜ!』と言ってくれたのがうれしかったです。

 

-最後に、この企画に対する想いを教えてください。

私たち船橋競馬場の関係者には、どこか根底に、目の前の船橋オートレース場が数年前になくなったことからの“危機感”がありました。
普段は気が合わないなんてひとも、もちろん中にはいると思うんですが、やっぱりここにしかないものを作っていかないと、競馬っていう世界も生き残れなくなってしまうのではないのか、船橋競馬場をもっと盛り上げていかなくては…という気持ちは皆同じなんです。
だからこうして、皆の想いが一つになって、この企画を実現することができたと思っています。

ハートビートVRは私が仕掛け人のように言われていますが、本当に私一人の力ではできなかったこと。組合の方々をはじめ厩舎関係者の皆さん、ジョッキーの皆さん、多くの関係者の皆さんの『船橋競馬場を盛り上げたい』『面白くしたい』という想いがあっての、アットホームな船橋競馬場ならではの企画だということを、多くの方に知っていただき、ぜひ遊びに来ていただきたいと思います。

 


いかがでしたか?
『360°競馬映像 船橋競馬場ハートビートVR』が実現するまでのドラマを垣間見ることができましたね。ハートビートVRは5月6日(祝・月)から船橋競馬場の1階投票所アタリーナ周辺でスタートです!皆さん、ぜひ船橋競馬場のジョッキーたちが見ている景色を体感してみてください。

 

<おまけ>
一足先にハートビートVR(今作)を体験したPacalla編集長の様子を動画でご覧ください!

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