馬の汗の不思議

2018/11/06

カテゴリ:馬のはなし / 色々なはなし / Pacallaオリジナル

読者の皆さん、こんにちは。
Pacalla編集部です。

最近はすっかり秋らしい気候になってきましたが、振り返ると今年の夏はとても暑くて長かったですよね。
『毎日滝のような汗をかいた…』なんて人もいるのでは?

 

 

全身から汗をかけない動物の方が実は多い⁉


さて、今日は馬の汗のお話をしようというわけですが、馬も人間と同じように全身から汗をかく動物です。
競馬場で馬を見慣れているPacalla読者の皆さんからすれば、『そりゃ、馬だって汗くらいかくでしょうよ』とお思いかもしれません。

しかし、実は全身から汗をかく動物って意外と少ないんです。
ペットとしておなじみの犬猫ウサギは足裏からしか汗をかけませんし、街中で見かけるカラスやスズメなどの鳥類は汗腺を持っていません。

全身から汗をかく動物には、ほかに牛やカバなどがいると言われていますが、なかでも馬と人間は汗っかきの部類に入ります。
ただし、同じ汗っかきでも人間と馬が異なるのは、人間は気温の変化だけで大量の汗をかくのに対し、馬は運動や緊張、興奮などの要素がないと大量の汗はかかないところです。
(ちなみに、ある実験では、競走馬は1レース走ると約10リットルもの汗をかくという結果も!!)
これについては、人間は主にエクリン腺という汗腺から汗をかきますが、馬は主にアポクリン腺という汗腺から汗をかくことにヒントがあるようです。

しかし、冒頭に出てきた犬や猫は全身にアポクリン腺、足裏にエクリン腺を持っていますが、アポクリン腺からはほとんど汗をかきません。
ですが、馬はこのアポクリン腺から大量の汗をかくことができるのです。
これは馬の優れた能力のひとつと言えるでしょう。
このように馬は体温調節に秀でており、それが高い運動能力にも繋がっていると考えられます。

 

 

馬の汗は石鹸だった?!


そんな汗っかきのお馬さんたちですが、パドックで馬を見ていると、ゼッケンの下や内股の部分の汗が石鹸のように白く泡立っているのを見たことはありませんか?
実はコレ、馬の汗が泡立ったものなんです。

先ほど『石鹸のように』と言いましたが、この泡立ちは馬の汗のなかに、石鹸の成分と似ているラセリンという成分が多く含まれているから起こるのだそう。

そもそも汗は体内で発した熱を体の外へ放出するためにかくもの。
このラセリンという成分が界面活性剤のような役割をして、汗が馬の体全体に広がりやすくなり、体の表面から熱を放出しやすくしているのです。

 

いかがでしたか?
馬は体温調節に長けており、汗ひとつとっても競馬などのレースに向いている動物であるということがわかりました。

それにしても“あの白い泡”に、こんなにたくさんの秘密があったとは本当に驚きですね。
ただでさえ、全身から汗をかく動物は珍しいというのに、そのなかでもひと際優れた性質をもつ馬たちの汗。
今度、競馬場に行った際にはぜひ注目してみようと思います!

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