ばん馬とどさんこ(北海道和種)のちがい

2018/05/01

カテゴリ:馬のはなし / Pacallaオリジナル

漫画『銀の匙』で競馬ファン以外にも広く知られるようになった“ばんえい競馬”。
しかし、ばんえい競馬が話題にのぼると、よく出るのが「ばんえい競馬って、どさんこがソリを引く競馬だよね?」というコメント。

実は現在のばんえい競馬で活躍している馬たちは、どさんこではなく、通称『ばん馬』と呼ばれる馬なんです。
ばん馬とどさんこ、どちらも北海道を代表するとても魅力的な馬ですが、今回はその違いについてお届けしたいと思います。

※この記事は動画バージョンもご用意しております。

 

見た目のちがい

【ばん馬】

ばん馬
「これ、馬ですか?」と聞きたくなるくらい、体が大きく、逞しいのが最大の特徴。体高は180cm前後で、体重は800-1200kgもあります。首と胴が太く、脚は少々短いようです。
サラブレッドの体重が400-500kgと考えると、いかにたくましい体つきが想像できますね。
主な毛色は鹿毛・栗毛・青毛・芦毛の4種類ですが、まれに粕毛とブチ毛のばん馬も。

 

【どさんこ】

どさんこ

どさんこの体高は125㎝-135㎝ほどと小さく、実はポニーに分類される可愛らしい馬です。
しかし、体重は350㎏-400㎏程度とサラブレッドに迫ることもあり、小さくてもガタイがよいといえます。
サラブレッドの毛色が8色なのに対して、どさんこは鹿毛のほか河原毛、月毛、佐目毛などの珍しいタイプを含む16色もあり、サラブレッドなどによく見られる顔や脚に白い模様は出ないのも特徴です。
ちなみに、どさんこの5割は粕毛なんだそう。
》参考:Wikipedia粕毛

 

 

性格・性質のちがい

【ばん馬】

ばん馬

体が大きく、重種に分類されるばん馬は一般に温厚でおとなしく、力持ちといわれています。
サラブレッドのようなスピードで走ることはできませんが、脚が短く胴が太いその体形は馬車を引いたり、ソリを引いたりするのに適しているそう。

 

【どさんこ】

どさんこ

北海道の極寒の冬を生き抜いてきたこと、また使役馬としてのパフォーマンスを考慮し、かしこい馬が残されてきたという歴史から、非常に頭がよいそうです。
性格については温厚といわれることが多いですが、賢いがゆえに、人に懐く温厚な馬と人間に反抗する馬に二極化するという説も。

 

 

ルーツのちがい

【ばん馬】

西洋の重種馬

ばん馬のルーツは、なんと日本ではなく海外から輸入された大型馬にあります。
その代表的な品種が(上図の左から順に)ペルシュロン種、ブルトン種、ベルジャン種です。
かつて、ばん馬はこのような馬たちの交雑種ということで、いずれも「半血」と呼ばれていました。
しかし、現在は前述の3種のような純血種同士の混血に限り「半血」、それ以外の混血については「日本ばん系種」と呼ばれ、ばんえい競馬のために生み出された日本独自の品種とされています。

 

【どさんこ】

南部馬

北海道で生まれた品種と思われがちなどさんこですが、その意外なルーツは本州にありました。
かつて、北海道が『蝦夷地』と呼ばれていた時代。
夏に本州の人々が東北地方から『南部馬』という馬を連れてきたのが始まりです。
寒さが厳しい北海道の冬、人間は本州へ帰り、馬はそのまま野に放たれ、春になるとまた捕えられて使役馬として活躍しました。
その南部馬たちが、北海道の気候に適応していったのがどさんこのルーツといわれています。

 

 

使役馬としてのちがい

【ばん馬】

ばんえい競馬

明治時代に入り、北海道での農耕が軌道に乗り始めると重いものを引く力に優れた大型の農耕馬が求められ、ペルシュロン等と日本在来馬の交配によって生まれた大型馬が工具を引いて農地を耕すようになります。
また明治の後期になると、西洋の軍馬に見劣りするという理由から、軍馬としてもばん馬のような大型馬が使われるように。昭和の終戦後には、また農村で大型農耕馬たちの活躍見られるようになり、農民たちが自慢の馬を競わせた「草ばん馬」が現在のばんえい競馬へとつながっていきました。

 

【どさんこ】

どさんこ 駄馬

どさんこは生まれながらにして側対歩(そくたいほ)という歩き方をすることが多い品種です。
この側対歩は、急いで歩いても背中の上下動が少なく荷崩れ・荷傷みが少なく、人間が乗っていてもあまり疲れません。小型の体格と頭の良さを利用し、背中に荷物を載せて運ぶ、駄載(ださい)を仕事としてきました。
車社会となった現代では駄馬としての仕事はなくなりましたが、疲れにくく長時間の騎乗に適しているという特性を活かし、ホーストレッキングなどのレジャーで活躍するようになりました。
》参考:北海道和種馬「ドサンコ」 側対歩の美しさを競う (2014/11/09)北海道新聞

 

 

生産のちがい

【ばん馬】

まだ若いばん馬

サラブレッドと同じようにばん馬の生産牧場が存在します。
ばん馬の生産の9割は北海道で行われており、生産牧場は十勝・釧路・根室を中心に道内各所に点在しているのだそう。
経営をしているのは、ばん馬が農耕馬として働いていた時代から馬に関わってきた方がほとんどで、家族経営の牧場が大多数を占めます。
現在は生産者の高齢化や後継者不足などから、ばん馬の生産は減少の一途をたどっており、平成元年と平成28年ではおよそ5分の1の生産頭数となっているそうです。

 

【どさんこ】

どさんこ仔馬

どさんこは年中放牧されていたため、餌を探しやすいように北海道のなかでは比較的雪の少ない根室・釧路・十勝・道央・道南で飼養されてきました。
競走馬のようなどさんこ専門の生産牧場はほとんど存在せず、トレッキングの乗馬クラブや日本在来種馬の保存に取り組む方、趣味で飼育している方によって繁殖が行われています。
現在は年間100頭ほどが血統登録されているそうです。

いかがでしたか? 
ばん馬とどさんこには、さまざまな違いがありましたね。
ぜひ、皆さんが北海道を訪れる際にはサラブレットだけでなく、ばん馬やどさんこにも会いに行ってみてください♪


協力:帯広競馬場(ばんえい十勝)/北海道和種馬保存協会/公益財団法人 日本馬事協会/公益財団法人 馬事文化財団 馬の博物館

 

▼記事の内容を動画でも解説

 

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