競走馬の脚質
2017/08/02
カテゴリ:色々なはなし / Pacallaオリジナル
こんにちは。すもーる青木です!
先週のアイビスサマーダッシュを見ていた際に、
直線勝負って面白いなーと思いまして。
そしたらタイミングよく世界陸上のCMをやってたんです。(織田裕二が)
今週開幕の世界陸上。
歴史上最速の傑物 ウサイン・ボルトの引退レースです。
ボルトって馬で言ったら差しかな…なんて考えていたのですが、
そもそも差しっていう概念、これ競馬以外で聞いたことないなと思いまして。
ボルトが先頭に立ってから後ろからまくられるなんてのはちょっと想像出来ません。
でも競馬だと直線でまくるなんて日常茶飯事です。
先週のアイビスサマーダッシュも差しが決まってます。
ではなぜ最初から先頭でレースを進めないのか。
そんな疑問をテーマにした記事です!
脚質
まずは脚質の種類について簡単に説明します。
レースや競馬新聞を見ていると、
逃げ馬、差し馬といった競走馬の脚質についての話や記事を良く見かけます。
脚質とはその馬の競走における脚の使い方、特性です。
一般的には、【逃げ馬】【先行馬】【差し馬】【追い込み馬】で分けられます。
それぞれの特徴を書いていきます。
逃げ馬
言葉通り、スタートしてからゴールまで先頭ぶっちぎり。
私の中で一番好みの脚質です。
逃げの脚質になる馬の特徴としては、
・馬群に揉まれると弱い
・勝負根性がある(自分より前に行かせない)
・一瞬のスピードよりスタミナに自信
といったところでしょうか。
代表馬で言うと、サイレンススズカがよく話題に挙がりますが、
この馬の場合は戦法としての「逃げ」、というよりも、
能力が違いすぎてカタチとして逃げになってしまう、
そういったことを武豊ジョッキーも仰ってましたね。
そのくらい強い馬だったと言えます。
最近の大逃げで記憶に新しいのは2009年のエリ女!
※新しいと言っても既に8年も前。早い。
この時の一番人気はブエナビスタ(単勝1.6倍)
当時牝馬クラシック2冠のブエナ。
古馬相手にも全く引けをとらないだろうということで、
私もブエナから買っておりました。
いざレースが始まると、クィーンスプマンテが大逃げを打ち、
それにテイエムプリキュアも続きます。
レース途中の向こう正面では3番手の馬にかなりの差がついてます。
4コーナー回ってもまだまだ差が埋まらず、
終わってみれば、逃げた2頭が1,2着。ブエナは3着でした。
下位人気の2頭によるワンツーフィニッシュということもあり、
3連単は150万OVER…!
悔しいよりも先に凄いレースを見たな、という思いの方が強かったです。(本当は悔しかったです)
やっぱり逃げ馬のハラハラ感、たまらなく好きです。
サンデー系の瞬発力勝負が多くなった昨今、逃げ馬は昔に比べると少なくなったのは否めませんが、
たまに大逃げする馬を見るとどうしても番狂わせを期待してしまいます。
強い馬なら逃げちゃえば良いのに。と思ったことないですか?
先行馬
スタート後に3番手,4番手の好位置からレースを進め、
直線で一気に先頭に立ち押し切るタイプ。
強い馬は脚質に関わらず、好位でレースを進めて直線で難なく抜け出しのカタチが多くなるため、
先行タイプの勝ち方は横綱相撲なんて言われたりします。
強い馬に多いタイプですから、先行馬の代表馬は枚挙に暇がないほど名馬だらけ。
差し馬
レース途中は中団〜後方待機、3~4コーナーから、あるいは直線で一気に先頭まで捲くるタイプ。
レースの終盤にかけてぐいぐい上げてロングスパートをかけたり、
最後の直線でごぼう抜きしたりと、見ているファンを熱狂させる粋な走り方ですねぇ。
追い込み馬
レース途中は後方あるいは最後尾で待機、直線で溜めていた脚を一気に爆発させて勝負を決めるタイプ。
ゴール板ギリギリでの決着が多くなるため、これまたファンを熱狂させる粋な走り方。
すごい見やすい動画があったので追い込み馬の魅力をどうぞ!
簡単ですが、馬の脚質はこんな感じです。
陸上競技でも差しがある!?
先ほども言った通りボルトが先頭に立ったらかわすのは難しいです。
小さい頃かけっこしててもマラソンしてても、
早い子は最初から最後までずっと先頭でいることがほとんどです。
数人のデッドヒートはあるかもしれませんが、最後方からまくるなんてことはまず起こりません。
人間の陸上競技と競馬が違うのは明らかですが、
どうしても差しの脚質になる理由が分からず、色々YouTubeサーフィンしてましたら、
陸上競技の1500M
これがもしかしたら近いのかもと思いました。
リオ五輪の女子1500M決勝を例に挙げます。こちらの動画をご覧ください。
※こちらの動画が埋め込み再生禁止になっているため、YouTubeサイトでご覧ください。
3:28あたりからレースが始まります。
まずはスタートから先行争い。
2つめのコーナーに入った4:32くらいで、
ペースがスローと感じたのか、一名の選手が先頭の選手をかわします。
普通に接触があるようです。
さらに4:40あたりで、外からスーッと上がっていく選手が出てきます。
最初の400Mは1:16:57(76.57秒)
このあたりまでがレース序盤といったところでしょうか。
序盤は位置取りが重要な感じがします。
5:26あたりまでは大体このまま進みます。
ここからまたスーッと上がっていく選手が出てきます。
先頭争いが熾烈になってきます。
さらにさらに、5:44あたりから多くの選手がペースアップ!
激しく選手の位置が変わります!
中盤800Mの通過タイムは2:27:11!(70.14秒)
6:09あたりからロングスパート開始でしょうか?
縦長の展開になっていきます。
既に遅れている選手が出始めている模様です。
隊列はどんどん縦長になってきてます。
1200Mの通過タイムは3:23:90(56.80秒)
最初の800Mに対して、もの凄いペースが上がってます!
残り300Mで2選手のデッドヒート!
最後の100Mくらいで先頭にたった選手がそのまま金メダル。
さらに、
後方待機していた選手が直線でまくって3位!
短距離と違ってスピード勝負に比べてある程度ペース配分や戦略も大事になってくるのが1500Mだと思います。
※転倒もあるそうです。
見ていて思ったのは、残り700M~500Mあたりでスパートが始まるので、
そのタイミングで好位にいないと離されて厳しくなる印象を受けました。
競馬で言うところの第3コーナーあたりといったところでしょうか。
こういう目線で見るとあんまり見たことのなかった1500Mのレースも楽しいかもしれません!
得手不得手
競馬のレースを見始めたころ、逃げ馬が一番有利だと思ってました。
これは競馬のレースが人間の短距離に近いと考えていたからです。
(サイレンススズカが好きというのもありますが。)
しかし競走馬も人間もずっと最速で走り続けられるわけではないのです。
だけど一瞬のスピードならメンバー最速だったり、
メンバー3番手くらいの速度だけど、一番その速度を長く維持できたり。
自分自身の得意な領域がどこか。
そこで勝負をしてるんだと考えれば合点がいきます。
差し馬の場合は、最初から逃げてしまうと途中でバテてしまったり、
或いは自分が先頭だと力が出せなかったり。
そういった不得意の領域を、得意の瞬発力でカバーしているのだと思います。
先ほどの動画で3位(銅メダル)になった選手ももしかしたら、
そういった自分の得意領域を最大限発揮するためのレースプランがあったのかもしれません。
よりレースを楽しむために
実際のレースは非常に難解です。
各馬、自分の得意領域があり、それを知る調教師の方やジョッキーが戦略を練りに練りレースに臨むのです。
それでも、その馬がその瞬間、その馬場状態で最高のタイムを出せる保証なんかなく、
レース中盤で馬群に揉まれて思った以上にスタミナを使っていたり、
直線で馬群が割れずに前に出れなかったとか、
レースは生き物と言われるように、本当に展開は予想を裏切ってくれます(だから面白いのですが)
さらにスローペースだと前にいる馬が有利(スローだと先行馬がバテない)とか、
ハイペースだと差し馬有利(先行馬がバテる)とか、
さらに馬の当日の体調だったり、、、
コースだったり(左回り、右回り)、、、
さらにさらに、血統による向き不向きとか、、、
もう 奥が深い のレベルを超えてます!!笑
でもそれだけ面白みがあるのも競馬ならではです。
私が逃げ馬が好きなように、みなさん各々好きな脚質があると思います。
好きな脚質から好きな馬を探すのも一興かも知れません!
競走馬の脚質に注目してレースを楽しんでみてはいかがでしょ!