【東京五輪2020】JRA馬事公苑はリニューアルでどう変わる?

2019/05/08

カテゴリ:Pacallaオリジナル

こんにちは、Pacalla編集部のやりゆきこです。
皆さんは世田谷区にある『JRA馬事公苑』をご存知でしょうか。

馬術ファンの方にはおなじみの馬事公苑ですが、「普段は競馬しか見ないよ~」という方のためにご説明させていただくと、馬事公苑は乗馬、馬術などの馬事文化を普及する拠点として日本中央競馬会(JRA)が運営している施設です。ここでこれまで数々の馬術大会や馬に関するイベントが行われてきました。

本公苑は1940年に開催される予定だった東京オリンピックに向けて、日本馬術選手の育成をするために作られましたが、日中戦争の影響で東京オリンピックが中止に。その後1964年に開催された東京オリンピックでは馬場馬術の競技場として使われました。
そんなJRA馬事公苑ですが、来る2020年の東京オリンピック・パラリンピックでも馬術競技の会場となることが決定しています。そのために2017年から施設整備工事が開始され、現在は休苑中です。

個人的な話になりますが、馬事公苑で散歩をしたり、家から馬事公苑までジョギングをしたりと馬術競技場としてだけではなく、私にとって馬事公苑は“公園”としても非常にお気に入りの場所だったのです。ですから、馬事公苑がこの工事を経てどのように変わるのか?非常に関心を持っていました。今回は、工事後の馬事公苑について調査しましたので、少しご紹介させていただきます。

 

オリンピック会場として、都民に愛される公園として。2フェーズの施設整備工事

実は、馬事公苑の工事は2フェーズに分かれています。第1フェーズはオリンピック・パラリンピックに相応しい馬術競技場にするための工事です。もちろんこれは2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までの工事となります。

てっきり私は2020年の東京オリンピック以降は、以前のように公園として一般開放されると思っていたのですが、工事は第2フェーズへ入ります。これはオリンピック・パラリンピック大会だけに必要な仮設施設の撤去に加え、馬術競技場から一般の方々にも憩いの場として親しんでもらえる公園としての機能も兼ね添えた施設にするための工事。この工事はオリンピック終了後しばらく続くため、私たち一般人が自由に馬事公苑を訪れることができるのは2022年秋ごろの予定です。

 

これまでの馬事公苑ではオリンピック開催はできない?世界基準の競技場へ

1964年にもオリンピックで使用されている馬事公苑。工事なしで使うことはできなかったの?と思う方もいるかもしれません。しかし冒頭でご紹介した通り、馬事公苑の開苑は1940年。もちろん全ての施設が当時のまま!ということはありませんが、開苑以来工事による休苑は一度も行っていないため、各所で老朽化が…。加えて、オリンピックやパラリンピックの開催会場とするには、現在の馬術競技の世界基準に則った施設や設備を整えなければなりません。

国際馬術連盟によるオリンピック競技施設基準では観覧席の数や厩舎の広さなども明確に定められており、人馬に優しい施設が多数できるそうです。

<リニューアル及び新設される建物>※一部
・メインアリーナ
・メインオフィス
・インドアアリーナ
・管理センター
・審判棟
・厩舎

そのほか、馬場の砂も欧州産の砂とフェルト素材を混ぜたグリップ性能に優れたものなるといいます。工事は大掛かりなものになりますが、これらの世界基準の馬術競技施設はオリンピック後も使用できるため、閉会後も日本国内でワールドクラスの競技大会にも活用が可能。日本の馬術選手にとって非常に良い環境が整いそうです。

 

車いすでも散策ができる! ユニバーサルデザインを重視した都民の憩いの場へ

また第2フェーズでは、前述の通り公園としての機能を兼ね備えた施設にするための工事が行われます。馬事公苑がある世田谷区では「世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例」が施行されており、その高い基準に則り、福祉的な配慮をした公園づくりを予定。
また災害時の広域避難場所としての役割も担う公園を目指しています。

<具体的な福祉的配慮>
・車いす用の多目的トイレ/子供用トイレの設置
・授乳室やキッズスペースの設置
・これまで苑内の奥にあり目の届きにくかった遊具のある広場を、見通しの良い安全なゾーンに移動
・バス停にはベンチ、ベビーカーや車いすの停留スペースを設置
・敷地内通路はできるだけ段差のない設計

<災害時の配慮>
・避難有効空地の拡張
・防災井戸およびマンホールトイレの設置
・災害時に公苑内に入りやすいよう南門を新設

また、これまでの緑豊かな馬事公苑のイメージを壊さぬよう、武蔵野自然林はそのまま残され、歩道の再整備を行うことにより苑内の散策がより楽しめるようになるなど、以前に増して都民の憩いの場所になっていくよう計画されています。

▼リニューアル後の馬事公苑イメージ

 


 

いかがでしたか?
今回の調査を進めるにあたり、JRAの担当の方にも少しお話を伺う機会がありました。私が以前の馬事公苑の想い出をお話すると、「やりさんが従前の馬事公苑のことを良くご存知であることがうれしかった」と非常に喜んでくださり、また担当者の皆さんの『馬事公苑愛』を感じることができました。

お気に入りの場所がなくなったり、新しくなったり。実は、そのことに少し寂しい気持ちもありました。ですが、担当者の方々の想いに触れ、この記事の制作を進めるにつれて気持ちは次第に『ワクワク』へ!新しい馬事公苑の歴史がスタートするのが本当に楽しみです!

【調査協力:JRA日本中央競馬会】

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