競馬とバレエの意外な関係?

2019/04/11

カテゴリ:Pacallaオリジナル

こんにちは、Pacalla編集部のやりゆきこです。

私事で恐縮ですが、少し前にテレビでバレリーナ芸人の松浦景子さんという方を知りまして。
YouTubeチャンネルをよく拝見しているのですが、その延長でガチのバレエの動画なんかも見るようになり、なんと先月は人生初、生のバレエ鑑賞デビューを果たしてしまいました。

そんなわけで、初心者向けのバレエ用語の解説書なども読み始めた今日この頃なのですが、本を読んでいるうちにあることに気がついたのです…!

それは『競走馬名はバレエに関係するものが非常に多い』ということ。

自分の好きなものに意外なつながりがあることを知ってなんだかうれしくなってしまいました!
…ということで、今回はバレエに関係のある競走馬名をご紹介していきます!

 

バレエダンサーにまつわる名前

最初にご紹介するのはバレエの踊り手を示す言葉や、実在したバレエダンサーの名前が由来となっている競走馬名です。競馬ファンなら誰もが知っている名馬の名も発見しましたよ!

 

① バレリーナ
1987年に新冠町のヤマオカ牧場で生まれた鹿毛の牝馬。思うような成績は残せず4戦で引退し繁殖牝馬になったようです。
ご存知の通り、今日ではバレリーナとは女性のバレエダンサーのことを指す言葉です。ですがロシア帝室バレエ団(~1920年)では『バレリーナ』は女性ダンサーの階級のひとつを表すものだったそう。ちなみにアメリカでは、バレリーナSという牝馬限定レースが開催されています!

 

② スターバレリーナ
1990年に社台ファームで生まれた鹿毛の牝馬。17戦で4勝。1993年のローズSで重賞馬になるなど、バレリーナの名を持つ日本の競走馬では一番有名かもしれません。
スターバレリーナとは恐らく、主役級のバレリーナ(プリンシパル)という意味でしょう。後述しますが、スターバレリーナ産駒はバレエに関わる名前のついた馬が多いようです!

 

③ ニジンスキー
史上15頭目のイギリスクラシック三冠馬。種牡馬としても1986年にイギリス・アイルランドのリーディングサイアーに。父は『北の踊り子』という意味のノーザンダンサーであることから、ロシアの伝説的なバレエダンサー『ヴァーツラフ・ニジンスキー』から名前がつけられました。
今シーズン、フィギュアスケートの羽生結弦選手が「Origin/起源」という曲を使用していましたが、実はこの曲、かつてロシアのプルシェンコ選手が使用した「ニジンスキーに捧ぐ」を原曲としてアレンジした作品なんだそうです。

 

④ ヌレイエフ(ヌレエフ)
ニジンスキーと同じく、父はノーザンダンサー。種牡馬として大成し、数々の名馬を残しているヌレイエフ。その由来となったのは、『ヴァーツラフ・ニジンスキー』の再来と呼ばれたロシアのダンサー『ルドルフ・ヌレエフ』です。競走馬名もダンサーに敬意を示すため『ヌレエフ』と表記することがあるそう。
ちなみにヌレイエフ産駒の『ストラヴィンスキー』(1999年カルティエ賞最優秀スプリンター)の名はバレエ音楽を多く残した作曲家『イーゴリ・ストラヴィンスキー』からとられています。

 

 

バレエの衣装・用具にまつわる名前

次に紹介するのは、バレエに関する衣装や用具に関連する競走馬名です。バレエに興味がない方でも、聞いたことのある言葉が多いのではないでしょうか。

 

⑤ バレエシューズ2016年に新ひだか町の佐藤陽一さんが生産した栗毛の牝馬。2018年の8月にデビューしたばかりです。
バレエシューズとはバレエ用のダンスシューズのこと。トウシューズとは違って、つま先が硬くないのが特徴です。体が成長途中の子どもたちやバレエ初心者は、このようなつま先の柔らかいシューズでレッスンをするそう。

 

⑥ トウシューズなんとトウシューズという馬を2頭発見。1頭目は1991年に新冠町の競優牧場で生まれた鹿毛の牝馬。もう1頭は2004年に社台ファームで生まれた、こちらも鹿毛の牝馬です。
トウシューズとは皆さんにもおなじみの女性バレエダンサーがつま先立ちをするためにつま先部分が硬くなっているシューズのこと。つま先立ちをする動作をバレエ用語でポアントというのですが、なんと『ポアント』という名前の競走馬もいたようです。

 

⑦ バレリーナチュチュ1995年に新冠町の早田牧場で生まれた鹿毛の牝馬。
チュチュとは腰から円形に平らに張り出した丈の短いレイヤードスカートの衣装のこと。バレエの歴史の中で、次第にダンサーが脚を大きく上げたり、高く飛んだりするようになりました。それ合わせてスカート丈が短くなっていったそうです。

 

⑧ バレエブラン2001年に追分ファームで生まれた鹿毛の牝馬。結果は18着と残念だったものの2004年には秋華賞(G1)にも出走!
バレエ・ブランとはクラシックバレエで女性のダンサーたちが白い衣装で踊る演目のことをいいます。『ジゼル(2幕)』『白鳥の湖(2・4幕)』などがバレエ・ブランの場面がある作品として有名です。

 

 

バレエ舞台の演目・役名にまつわる名前

続いてご紹介するのは、バレエの演目や役名が由来となっている馬たちです。前述のダンサー編でご紹介したヌレイエフの孫も登場!

 

⑨ スワニルダ2013年に新ひだか町、チャンピオンズファームで生まれた芦毛の牝馬。現在も地方競馬で頑張っています!2019年に入ってからは1着・2着・2着と好調な様子。
スワニルダは『コッペリア』というバレエの演目の登場人物です。コッペリアはいつも本を読んでいる女の子。実は彼女は人形なのですが、それを知らないスワニルダの恋人がコッペリアにうつつを抜かしてしまいます。それに妬いてしまう活発な女の子…という役どころがスワニルダ。
ちなみに『コッペリア』という競走馬もいたようです。

 

⑩ スパルタクス前述のスターバレリーナ産駒で、1998年に社台ファームで生まれた鹿毛の牡馬。
スパルタクスとは紀元前1世紀のローマ帝国を舞台にしたバレエの演目です。演目名にもなっている『スパルタクス』は物語の中で奴隷解放のために活躍した人物。ボリショイ・バレエ団が頻繁に上演している演目で、アクロバットな動きが多く、見ごたえたっぷり迫力満点の舞台です。

 

⑪ オディール
2005年に新冠町のノースヒルズマネジメント(現ノースヒルズ)で生まれた芦毛の牝馬。
オディールとはバレエの演目『白鳥の湖』に登場する黒鳥の名前。芦毛なのに黒鳥というのが面白いですが、オディールの父であるクロフネも芦毛なのにクロフネなので、それに準じた⁉のかもしれませんね。

 

⑫ オデット
2001年に白老ファームで生まれた黒鹿毛の牝馬。
オデットは『白鳥の湖』に登場する白鳥(姫)の名前。先ほど登場した黒鳥のオディールが芦毛なのに対し、こちらは白鳥なのに黒鹿毛です!ちなみにオデッドの母父に当たるのはヌレイエフ。ヌレイエフ産駒であり、オデッドの母に当たる馬は『スワンプリンセス』という名前だそう。

 

 

その他

最後にお届けするのはバレエの技法や形式に由来するものや、バレエダンサーの階級に関するものなど。実は、バレエの技法名や形式名は馬場馬術にも使われているものがあるため、競馬だけなく馬術にも興味がある方は、聞いたことのある言葉が登場するかもしれません。

 

⑬ プリンシパルスター
2013年ノーザンファーム生まれの青鹿毛。
セン馬となり今も現役馬として頑張っています。プリンシパルとは最高位のバレエダンサーのこと。プリンシパルスターは現在障害レースで走っているということなので、プリンシパルのように高く遠くジャンプを決めてくれたらいいですね!

 

⑭ グランドピルエット 2015年社台ファーム生まれの鹿毛の牝馬。現在も中央競馬で頑張っています。
ピルエットはバレエで最も代表的な回転技のひとつ。いくつかの種類があり、グランドピルエットはその中でも大技です。片足を90度に上げたまま、軸足の力だけでまわり続けます。ちなみに馬場馬術にもピルエットという、馬の後肢を軸に回転する技があります。

 

⑮ グランパドドゥ
2001年に中日新聞杯(G3)を勝利したグランパドドゥは前述のスターバレリーナ産駒。
『ドゥ』はフランス語で『2』を意味します。パ・ド・ドゥとは2人で踊るバレエの形式のこと。そして、クラシックバレエの全幕作品の最後に主役の二人が踊る4曲で構成されたパートをグラン・パ・ド・ドゥといいます。馬場馬術でも2組の人馬で行う演技のことをパ・ド・ドゥと呼びます。

≫馬場馬術のパ・ド・ドゥの動画はこちら

 

いかがでしたか?
競馬とバレエ、別世界のように思えましたが、想像以上にバレエに関する名前を持った競走馬を見つけることができました。
(私はもはやバレエ用語辞典を眺めていると、カタカナはすべて競走馬名に見えてくるようになっております…)

今回ご紹介できたのはほんのごく一部。『バレエ』や『ダンサー』といった言葉が名前に含まれている競走馬の産駒や近親馬を調べていくと、他にもバレエに由来する競走馬に出会えるかもしれません。ぜひ探してみてくださいね!

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