【生駒永観】夏馬についての俗説を検証!

2019/06/26

カテゴリ:Pacallaオリジナル

春競馬のグランプリレース宝塚記念も終わり、いよいよ夏競馬が始まりますね。
GIレースの開催こそ無いものの、2歳戦やサマーシリーズなど見どころたくさんの夏競馬。
今回は夏に強いと言われている”夏馬”についての俗説を、データを用いて検証してみたいと思います。

 

1.夏は芦毛が強い説

黒い色に比べて熱を吸収しにくいとされている白い色。
馬の毛色にも黒っぽい色や白っぽい色があり、芦毛の馬は暑さに強いという俗説がありますが、実際はどうなのでしょうか。

◆表1 過去3年間の夏(2016年~2018年 7月1日~9月31日)の毛色別成績

期間中芦毛馬は1910回出走して149勝。勝率7.8%は全毛色の中でも1位で、この部門ではいい成績を残しています。
ですが、連対率は4位、複勝率は3位。単勝回収率は6位、複勝回収率も5位と、トータルで見ると夏の芦毛馬が優れているとは言えないようです。

では、集計期間を夏競馬以外も含めた2016年1月1日~2018年12月31日に広げた場合はどうでしょうか。
ひょっとすると、芦毛馬が夏場にパフォーマンスを上げていることを示すデータが見つかるかもしれません。

◆表2 過去3年間(2016年1月1日~2018年12月31日)の毛色別成績

なんと、全ての項目において夏よりも夏以外の成績が良い事が判明しました!
特に11月の勝率は10.1%と10%超え、単勝回収率も103%と非常に優秀な成績でした。
芦毛馬は夏に強いどころか、むしろ夏に弱いという結論になりました。
暑さに負けるな芦毛馬!頑張れ芦毛馬!

☆結論
芦毛馬は特に夏に強いわけではない、むしろ弱い

 

2.夏は牝馬が強い説

人間の場合、女性の方が男性より痛みに強い、というのはよく聞きますが、人間同様に馬の場合もメスの方が過酷な環境に強いのでしょうか。
次は”夏は牝馬が強い”という格言の真偽について、検証してみましょう。

◆表3 過去3年間の夏(2016年~2018年 7月1日~9月31日)の牡馬セン馬月別成績

◆表4 過去3年間の夏(2016年~2018年 7月1日~9月31日)の牝馬月別成績


俗説とは異なり、勝率や連対率、複勝率といった好走しやすさの度合いを示す数値は全て牡馬の方が高い事がこのデータから見て取れます。
一方、単勝や複勝の回収率では、9月の単勝回収率こそ牡馬の方が高いものの、それ以外の項目では牝馬の回収率の方が高くなっています。
全体的に見ると、牡馬のほうが人気しやすく、人気が示すとおり牝馬よりも牡馬の成績の方が良い(平均的に競走能力が高い)ということになるでしょう。
ですが、一つ気をつけねばならない点があります。
それは、牡馬の方が競走能力が高いというのは、夏に限らず一年を通じて言える傾向だということです。
もし夏場に牡牝の好走率の差が縮まっている場合、”夏は牝馬が強い”といえるでしょう。
ここで、下記の表5をご覧ください。

◆表5 過去3年間の牡牝別月別勝率

牝馬は7月をピークに夏場に勝率を上げ、気温が下がる11月~2月には勝率が下がっています。
これには発情の周期が関係するのではないか、と言われていますが、まだはっきりしたことは分かっていません。
以上のことから、”確かに牝馬は夏に強いが、年間を通して好走率では牡馬に劣る”という結論になりました。
牝馬も牡馬も暑さに負けるな!頑張れ日本のサラブレッドたち!

 

☆結論
確かに牝馬は夏に強いが、それでも牡馬の方が強い

 

以上、夏馬に関する2大俗説の検証記事でした。
いかがでしたでしょうか?

競馬仲間の間でこの知識を披露すれば、注目を浴びる存在になれるかも!?

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