今週はJBC!今年は史上初の2場開催!
2020/11/02
カテゴリ:色々なはなし / Pacallaオリジナル
年に一度のお祭り「JBC」の開催がいよいよ迫ってきました。
令和最初のJBCを勝利するのはどの馬か、今から予想が楽しいですね!
例年、開催のほとんどが文化の日。
競馬文化を広める意味でも覚えやすい日程ですね。
今回はJBCの由来や歴史についておさらいも含めてまとめました!
JBCの歴史
JBCの発足は2001年!
JBC、正式名称は ジャパンブリーディングファームズカップ と言います。略してJBC。
一般的にはJBCで通っており、正式名称はあくまでも後付けだそうです。
ご存知の通り、ご本家アメリカのBC (ブリーダーズカップ) を模範としているので、JBCはジャパンブリーダーズカップと思いがち。実際私はそう思ってました。
最初はジャパンブリーダーズカップと命名予定だったそうですが、アメリカのブリーダーズカップ協会からクレームが来た?らしく、上記の名称にしたとのことです。
ご本家BCについて
JBCを説明するうえで欠かせないのが、本家アメリカのBC。
JBCはBCを模範として創設されたレースですが、そもそもアメリカのBCはなぜ創設されたのか。
時は1970年代後半。
当時のアメリカ馬産界はいわゆるバブル状態。
名馬を持ちたいという馬主の増加により生産馬がバンバン売れていたそうです。
まさに夢のような好景気。
市場の膨らみによって金融商品としての価値が上がる馬。
競走馬が売買される様はもはや娯楽ではなくマネーゲームの様相を呈していました。
そういったバブル感に嫌気がさしたファンはどんどん競馬から遠ざかり、
アメリカ競馬は深刻な競馬ファン離れがおこっていました。
下降線をたどる競馬人気。
いくら馬主が高値で競走馬を買ってくれても、結局競馬自体の賞金や手当などは、大衆娯楽として遊んでくれる一般のファンがいないと賄えないため、ファン無くして競馬は成り立たないというわけです。
危機感を募らせたのは競走馬の生産を生業とする生産者たちでした。
彼らは競馬人気を復活させるために、レースを主催します。
それがブリーダーズカップです。
もちろん競馬人気復活をかけた大会ですのでただのレースではありません。
ファンが見たいレースとは何か。それはシンプルな話で、
強い馬がいっぱい出るレース
これに集約されるというのは頷けます。
そして強い馬が集まるレースとは得てして高額賞金が出ます。
主催の馬産家たちは高額賞金の仕組みをこう考えました。
アメリカの種牡馬オーナーから種付け料1回分を納付させて、それを賞金の資金源とする
もちろん種牡馬オーナーにもメリットがあり、
種付け料を納付した種牡馬の産駒はブリーダーズカップへの出走時に追加登録料がかからないのと、
種付けの際や産駒を売りに出す際のアピールにもなります。
勝ち馬のオーナー、そして勝ち馬の種牡馬のオーナーはウハウハですね。
言うなれば1位総取りのようなものです。好きですこういうの。
また、集権型にならないよう、開催競馬場を持ち回りで毎年変えることになっています。
強い馬が競走し、優勝馬には多額の賞金が与えられる。
分かりやすく、楽しめる、1984年にスタートしたBCは大成功を納め、世界中の競馬関係者の注目レースになりました。
少し話が脱線しますが、BCはお金の集め方もすごいんです。
ブリーダーズカップは現在は2日間開催でのべ13レースも行われています。
特に最終レースとなるブリーダーズカップ・クラシック(ダート2000M)は 、
賞金額も最も高い600万米ドル(6億6千万円くらい)。
ダート戦線を主体としているのは世界でもアメリカだけのため、
事実上このレースが世界最強ダート馬決定戦として認知されています。
ただ、ブリーダーズカップへの出走には種付け料納付済みの種牡馬の産駒かどうか、
また、当歳時にBC協会に登録しているかどうか、でレース登録料が全く異なってきます。
ちょっとややこしいですが、簡単に纏めると、
<出走資格>
1.BCに登録されている競走馬(産駒・現役馬)である
2.出走登録料を納めている(予備登録、出馬登録の2回)
1についてですが、まず当歳時に登録が出来ます。
※当歳馬も何月までに登録するかで金額が変わりますが、5~20万円くらいなのでそこまで多額ではありません。
当歳馬登録していない時、は現役馬登録が出来ます。
この現役馬登録がなかなかエグいです。
その金額なんと1000万円ほど。
あー!当歳のときなら5万だったのが、成長して強くなったから出そうと思ったら産駒登録に1000万かかる!
なかなかに笑えないですね。相当自信がないと現役馬登録は出来ないと思います。
しかも、この1000万円というのが更に細かく条件がありまして、「BCに登録されている種牡馬」の産駒だった場合が1000万円なのです。
もし「BCに未登録の種牡馬」の産駒だった場合、現役馬登録に必要な金額はなんと2000万円。
そりゃぁだれも海外から現役馬登録しないですよね。。
元々集金が種付料を徴収していたことや、種牡馬アピールという観点もあるため、
ある程度登録されている種牡馬のブランドを守り育てるというのがBC協会としては必要になっているのだろうと思います。
2の出走登録料ですが、登録するレースの総賞金の1.25%〜1.5%ほどが予備登録、同じ金額が出馬登録でかかります。
予備登録は2レースまで。
参考までに最高額のBCクラシックが6億6千万円なので、1.25%は825万円で、予備登録と出馬登録で2回かかるので合計1650万円が出走登録料になります。
なんかもう重賞の賞金全部掛けてやっと出走出来るようなレベルですね。。
恐るべしアメリカBC!
JBCの発足
JBCが初開催されたのは2001年。
国も文化も違えど、この頃の日本競馬は1970年代後半のアメリカ競馬と同じような状況がありました。
日本には大きく中央競馬と地方競馬がありますが、
中央競馬(JRA)の年間売上は発足当時からほぼずーーっと右肩上がりでした。(本当にすごい)
しかし97年の4兆円の大台以降、2011年まで13年連続で減収になります。
JRAの人気はすごいです。が、そのJRAでも売上が落ち始めた90年代後半。
地方競馬の現状は大変に厳しい時代でした。
バブル以降、売上が低下した各競馬場はどんどん廃場となっていきました。
各主催団体も明確に打開策がないまま規模縮小の一途となっていました。
競馬人気が広がれば生産者にとっては馬が売れる、
逆に競馬人気が下がれば馬が売れない。という構図が成り立ちます。
なぜなら日本の競馬の賞金や手当は我々ファンの馬券収入によって成り立っているからです。
ファンが馬券を買わなくなれば競馬場主催者の収益が減り、自ずと賞金や手当が減る、
そうすると馬主も減り、馬が売れなくなるからです。
そんな苦しい時代に、下火になっていた競馬人気を取り戻そうと生産者主体で発足されたのがJBCでした。
競馬の制度の違いがあるので、アメリカのBCと同じというのは難しいですが、
JBCもまた、生産者主導のレース開催であるという点では同じです。
JBCのレースは基本地方競馬で行われます。
もちろん制度上の実現可否もありましたが、競馬人気を復活させるという意味でも、地方競馬の盛り上がりは不可欠だった世紀末。
明確な頂上決戦のレースも無かった当時、メイン距離のダート2000MのJBCクラシック、スピード能力を競うダート1200MのJBCスプリントの2レースでスタートしました。
JBCもアメリカのBCに習い開催競馬場は持ち回りです。
JBCの全てのレースの格付けはJpnⅠのため、日本中のダートの猛者が集結します。
実際に優勝馬は後に種牡馬となる馬も多く、ダートの頂上決戦にふさわしいレースの格付けになっていきました。2011年からは牝馬限定のダート1800M JBCレディスクラシックも加えた3レース構成になっています。
これからも多くの歴史を刻んでいくと思いますが、まずは今年も盛大に盛り上がりましょう!
後世に語り継がれるような名勝負が生まれてくれたらいいですね!
我々競馬ファンにとっては待ち遠しい限りです。