調教用・乗馬用ジーンズ『ONZOデニム』開発秘話

2018/09/25

カテゴリ:色々なはなし / 人のはなし / Pacallaオリジナル

こんにちは!Pacalla編集部のやりゆきこです。

皆さんは『ONZOデニム』というジーンズをご存知でしょうか?
実はこのジーンズ、競走馬の調教など『馬に乗るとき専用』に作られたジーンズなんです。
「でも普通のジーンズとどう違うの?」と疑問に思ったPacalla編集部…。
今回はONZOデニムの経営者であり、デザイナーでもある田中洋之さんにお話を伺いました。

 

騎乗中、ウェアに加わるダメージを考慮したジーンズ

―馬に乗るときのウェア、特にパンツというと競馬の騎手がレースのときに履いているジョッキーパンツや、乗馬をする方が履いているキュロットなどが思い浮かびます。
『ONZOデニム』は調教用・乗馬用のジーンズということですが、どのようなところに特徴があるのでしょうか。

ONZOデニムは栗東トレーニングセンター内の調教助手と若手ジョッキーの方々から情報をいただき、調教と厩舎での作業に向けて『機能性と耐久性』を追求した製品です。
調教では膝下の内側に集中してダメージが加わることから、その部分の縫い目をなくし、内股からお尻にかけて、生地を二重にすることで強度を高めました。
騎乗中や厩舎作業でも頻繁にある『前屈み姿勢』などを想定した、立体的なシルエットを採用し、馬に関わる方が行うさまざまな作業において、負担を軽減するようにできています。

調教用・乗馬用ジーンズ『ONZOデニム』開発秘話実際のONZOデニム。縫い目の位置が通常のジーンズとは異なるのがわかる。

 

また乗馬用のキュロットが騎乗をメインに考えられ、伸縮性重視の生地を使用しているのに対し、ONZOデニムはワークウェアとしての役割も担うことができるよう、やや伸縮性のある厚手のデニム生地を使用しています。

―ONZOデニムは騎乗だけではなく、厩舎作業などの広い範囲の仕事を見据えて作られたジーンズということがわかりました。
実際にはどのような場所で多く使われているのでしょうか。

調教師、調教助手、厩務員、牧場関係者、ジョッキーの方々など全国で幅広く使われています。
とくに、ジョッキーの間では武豊騎手、四位洋文騎手、福永祐一騎手、川田将雅騎手、松山弘平騎手をはじめ、たくさんの方に愛用いただき知名度も上がってきました。
現在、栗東トレーニングセンターに所属する4分の1のジョッキーに普及しています。

たくさんの競馬関係者に愛用されている。

 

馬に関わるすべての方を敬い、ふさわしいお召し物を提供したい

―田中さんは、もともとパタンナーだったとお伺いしています。
どのような経緯で『競馬』に目をつけたのでしょうか。

兵庫県姫路市、姫路競馬場の近くで生まれ育ち、もともと競馬とジーンズが大好きでした。競馬は幼なじみが北海道の牧場を経て、調教助手になったこともあり、とても身近な存在です。

ジーンズ好きも高じて服飾学校を卒業後、ジーンズの産地である岡山県の児島でアパレル製造会社にパタンナーとして就職しましたが、すぐに営業に移動になり、ジーンズの製造から販売まで広い視野でジーンズの生産を見ることができました。

営業として働いて数年たった頃、休日に競馬調教の映像を見る機会がありました。
職業柄カジュアルなジーンズで調教しているのが目に留まり、調教助手の幼なじみに話を聞いてみたんです。
やはり多くの競馬関係者が一般的なジーンズで調教などを行っていることを知り、「これだ!」と思いました。

ジーンズは元来、炭坑用の作業着であり、その後ロデオジーンズになった歴史があります。
つまり『馬』にも『作業』にも適したパンツということです。
「現代の生地と材料、そして技術を組み合わせれば需要があるのでは」と考え、事業化に踏み切りました。

―昨今はファッションの側面が大きいジーンズが、本来の役割を取り戻し、さらに現代の技術でパワーアップさせ、そして調教・厩舎仕事に特化できればと考えた―。
これが『ONZOデニム』のはじまりというわけですね。
“ONZO”というブランド名には何か意味が込められているのですか?

ONZOというのは日本語の『御衣(おんぞ)』のことです。
着ている人を敬い、その人が着ている衣服を指すときに御衣と言います。
馬に関わる方々をはじめ、すべての人を敬い、その方々にふさわしいお召し物を提供したい…そういう気持ちをブランド名に込めました。

 

求められる性能とコストパフォーマンスの壁

―今でこそ業界内の知名度が上がっているONZOデニムですが、開発・販売において困難などはありましたか?

海外では日本製のデニムは高評価を得ていますが、国内では『国産』というネームバリューが通用せず、より機能的で耐久性があるものを求められるのに対し、価格はファストファッションと差がないことを要求されます。

そこで、当初は国内生産していたところを、日本では企画とサンプル制作などの施策まで行い、それ以降を海外生産する形に切り替えました。
そうやってローコストで提供できるよう努めています。

しかし、海外生産については「思った商品と違うものができあがる」「現地スタッフに商品の意図を理解してもらえない」「生産数が少ないため、理想の製造スタイルにたどり着かない」など、まだまだ悪戦苦闘中です。

―実は、性能の高さに対して販売価格が安価であることは私も気になっていました。
この価格での販売の裏には、大変な努力があるのですね…。
海外生産の課題克服のほか、最後にONZOデニムの今後の展望をお教えいただけますか。

最終的にはオーストラリアや韓国など海外にも進出を考えています。
また、現状はフィッティングの問題などがあり、インターネットでの購入ハードルが高い商品のため、販路が少ないことも課題のひとつとなっています。
ワークウェアショップ、牧場やトレセン付近のホームセンターなどお客様のより身近な場所での販路拡大が、今後のONZOデニムの最大の山場です。
一日でも早く、ONZOデニムを求めるお客様の近くでの販売がかなうよう、努力していきたいと思います。

田中さん、普段はなかなか知ることができない、ONZOデニムのお話をたくさん聞かせていただきありがとうございました。
微力ながらPacalla編集部も応援させていただければ幸いです。
(ちなみにPacalla参加牧場ではヤシ・レーシングランチさんで使用されているのを見かけました!)

▼ONZOデニム公式ONLINE SHOP

 

 

いかがでしたか?
ONZOデニムの特徴はもちろん、開発の意外な裏側を知ることができました。
またONZOデニムは機能性、耐久性からバイクや自転車に乗る方にも好評で、普段着として履いている方もいるのだそう。
気になる方はぜひチェックしてみてください。

 

【取材協力・写真提供】

田中洋一田中洋之
ONZOデニムを販売するBELIS FACTORYの経営者であり、デザイナー。ジーンズの産地、岡山県児島のアパレルメーカー勤務を経て平成24年に独立。平成28年より「ONZOデニム」の本格的製造・販売をスタート。

 

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