ありがとうストリートキャップ
2018/03/21
カテゴリ:馬のはなし / 色々なはなし
皆さんこんにちはm(__)m
佐藤牧場です。
雪解けも進み、北海道でも春の訪れを感じるようになりました。
さて、今回は生産馬でありローレルクラブで提供していたストリートキャップ号が2月24日の競馬で競争を中止して、引退をすることになりました。
今まで本当に沢山の応援をしていただき、この場をお借りして感謝申し上げます。
当牧場で開設していますTwitterでも本当に多くの反響があり、Twitterでは文字制限のため書ききれない想いを今回は記事にさせていただこうと思います。
実質引退レースになったのは久々のダートでの競馬で、奇しくもお祖父さんと同じ中山競馬場でありました。
以前に痛めた脚に不安があり、この先のことも考えてのダート競馬でした。
スタートしてからは久々のダートのわりには手応えも良く、騎乗してくれた大野ジョッキーも内心期待していたようです。しかし、直線を向いてから違和感があったそうで止めたそうです。
この日は私たちは家のテレビから応援していたのですが、ゴールをしてこないストリートキャップに不安を抱きました。競争を中止したのを知ったのはこの直後のことです。
その後、とりあえず自分で救急の馬運車に乗り込んだそうで一先ず最悪の事態は免れたとホッとしました。もし、あのままジョッキーが直線で止めずに追っていたら…。そう思うと本当に胸がゾッとします。
ですので今回、大野ジョッキーの好判断に彼の命が救われたと思っています。
その後、以前長期休養の原因になった捻挫と診断されクラブや斎藤先生と協議した結果、これ以上無理させて万が一のことがあってはと判断し引退をすることに決めました。引退後の行き先は既に発表されていますが、サンクスホースプロジェクトに乗馬として行くことになりました。
当初、沢山ファンのいる馬だからとJRAの誘導馬の道も模索したのですが、怪我の治療の日数と費用がかかるからと断念。斎藤先生のご尽力で今回はサンクスホースプロジェクトさんでお世話になることとなりました。
ここまで31戦。
斎藤先生を始め、厩舎スタッフや関係者の方々、会員様を始めとする沢山の応援団の方々に支えられてこられました。今後についてはまた何か進展がありましたら、この場でも報告させていただこうと思います。
2012年、3月9日にオグリキャップ最後の産駒ミンナノアイドルが出産した男の子。
生まれた仔は初仔ということもあり線は細かったですが、均整の取れたバランスの良い馬体でした。
大きな怪我や病気もなく、本当に順調に育っていきました。
オグリキャップの産駒の多くが脚元に不安があったとのことで、この世代からウォーキングマシンで運動をさせて(現在も続けています)体力向上を図りました。途中、蹄が異常に磨り減り過ぎるくらい運動をさせて装蹄師の方に注意されたのは良い思い出です。そんな中、ローレルクラブに提供し募集をすることになり沢山の方とご縁が生まれ早々に募集満口となりました。後日談なのですが、申し込みが間に合わなかった方が多数いたようで大変申し訳なかったです。
当牧場から旅立ち、育成先ではかなりヤンチャ坊主に成長。
しかし、僕も当時その育成場で馬乗りのバイトをさせていただきストリートキャップの背中にも跨がりましたが、嘘でも冗談でもなく「あれ?もしかしたら走る馬かもしれない」と思い社長や自分の嫁に話した記憶があります。
その後、本州の育成場を経由して美浦・斎藤誠厩舎に移動。
デビュー戦は9月6日の新潟となり、僕も初めて新潟競馬場に応援に行かせていただきました。
デビュー週にはスポーツ紙の競馬欄に大きく記事が出たことに家族全員びっくりしました(笑)後から担当の助手さんに伺ったのですが、厩舎内はもちろんその記事が出たことで周りからも色々と声をかけられたと言っていました。
そんな中、期待と不安複雑な気持ちがあるなか多くの会員様が見守るなかデビュー戦を迎え、しかも勝ってデビューを飾ってくれオグリの孫ということで競馬場が異様な空気間だったような気がします。
余談にはなるのですが、この間お母さんのミンナノアイドルは不受胎続きで、息子の勝利は家族全員が勇気付けられました。
その後は中々勝つことが出来ず、2勝目は年が明けた4月の中山競馬場でした。このとき、大規模ではありませんが競馬場で起きたオグリコールはファンの中で語り草になっています。
またこの頃、柴山ジョッキーとコンビを組むことが多く笠松コンビなんていってる方もいました。
結局、最後の勝利となったのはデビュー戦と同じ新潟でした。2016年のことです。
武豊ジョッキーが乗って少し話題になったり勝てそうで勝てない競馬が続き、皆さんがモヤモヤしていた時期で本当に勝てて良かったです。このとき会員の方たちとあげた祝杯は最高でした。
それから1年。怪我があり長期休養を余儀なくされたりと本当にいつも良くも悪くも話題の尽きない馬だったように思います。そして、お別れのときは突然やってきました。それが先程お話ししたレースです。
ストリートキャップが頑張っている間、お母さんのミンナノアイドルも頑張り昨年5年ぶりに次男坊を出産しました。お兄さんと同じ芦毛のゴールドアリュール産駒でこれまたローレルクラブにて提供して、現在募集中となっています。管理予定もお兄さんと同じ斎藤誠厩舎です。
牧場では「アイ君」と呼んで、お兄さん同様沢山の愛情を注いで順調に育っています。
ストリートキャップが多くの夢を見せてくれ、その夢の続きは弟のアイ君に。
ゆくゆくはオグリの夢を再び見せてくれれば本当に嬉しいです。
最後にはなりますが、ストリートキャップは現役を引退しますが彼の馬生はまだ続きます。
弟と同様、これからも温かく見守っていただければ嬉しいです。