日本在来馬って何種類? どんな馬がいるの?

2023/07/11

カテゴリ:馬のはなし / Pacallaオリジナル

 

こんにちはPacalla 編集部です。競馬ファンの皆さんがいちばん目にする馬といえばサラブレッドだと思いますが、他にはどんな馬を見たことがあるでしょうか? 実は日本には昔からその土地に根づいていて、洋種馬の影響をほとんど受けていない『日本在来馬』とされる馬が8種類います。今日はその8種類の在来馬について地域ごとにご紹介したいと思います。

 

北海道:北海道和種(通称ドサンコ)


北海道和種は通称ドサンコと呼ばれ、体高は125㎝-135㎝ほど、体重は350㎏-400㎏程度の日本在来馬です。サラブレッドの毛色が8色なのに対して、北海道和種は鹿毛のほか河原毛、月毛、佐目毛などの珍しいタイプを含む16色もあり、サラブレッドなどによく見られる白徴が出ないのも特徴です。ちなみに、北海道和種の5割は粕毛なんだそう。絶滅が危惧されている日本在来馬の中では比較的数が多く、令和4年のデータでは1087頭となっています。

 

長野県:木曽馬

eiko, CC BY-SA 2.0 , via Wikimedia Commons

長野県の木曽地域で飼養されてきた日本在来馬です。体高は135cm前後ですが、体重は350㎏~420㎏ほど。耳の先が黒かったり、背中に鰻線と呼ばれる黒い線があったりといった特徴があります。明治・大正時代に洋種馬との交配が進み、純血種はいなくなってしまいました。現在は純血に準じる純系を木曽馬と呼んでおり、最後の純血木曽馬といわれる『第三春山号』が鹿毛で、700頭もの子どもを残したことから現在の木曽馬には鹿毛が多いのではないか?ともいわれています。令和4年のデータでは133頭ほど。

 

愛媛県:野間馬

愛媛県今治市の野間地域で飼養されてきた日本在来馬で体高は110㎝-120㎝ほど。江戸時代に松山領の野間群では領主に命令された農家が馬を育てていたそうです。そこで育った体高が121cm以上の馬は戦のために領主に買い取られ、それよりも小さい馬は無料で農家に払い下げられました。農家に引き取られた小さな馬同士の交配によって野間馬が生まれたといわれています。令和4年のデータでは48頭となっており、その多くが野間馬ハイランドで飼養されていますが、関東では根岸・馬の博物館や上野動物園で見ることができます。

 

宮崎県:御崎馬

宮崎県都井岬で、半野生の形で飼養されている日本在来馬ですが野生の馬ではありません。体高は130㎝前後、体重は300kg程度。農耕馬として使用された他の日本在来馬と比較すると、足が細いといった江戸時代の乗用馬の特徴が見られるそうです。毛色は鹿毛、黒鹿毛、河原毛が多く、足首が黒いといわれています。1頭の牡馬と数頭の牝馬とその仔馬で形成されるハーレムという群れで行動します。国の天然記念物にも指定されており、令和4年のデータでは98頭が飼養されているとのこと。

 

鹿児島県:トカラ馬


トカラ列島の宝島や奄美諸島の喜界島で飼養されてきた馬で、体高は120㎝前後。白徴はなく、毛色は黒鹿毛,栃栗毛が多いようです。タテガミやマエガミが多いのも特徴です。明治以降は洋種馬との交配が進んでいましたが、明治30年ごろに喜界島から宝島へ農業用として十数頭が移入された日本在来馬の子孫で雑種化していなかった馬たちが確認されトカラ馬と名付けられました。令和4年のデータでは85頭ほどが飼養されており、現在は関東だと上野動物園で見ることができます。

 

長崎県:対州馬

体高130cm前後、長崎県対馬を中心に飼養されてきた日本在来馬。元寇の際に活躍した馬として有名ですが、当時と体格などが同じだったかどうかはわからないそう。本来の毛色は青毛だったとされていますが、最近は鹿毛や栗毛も多いとのこと。明治以降に国策として洋種馬との交配が進められたときも、対馬地域では積極的に行わなかったため雑種化が進まなかった貴重な馬です。他の在来馬と比べ情報が少なく、今後積極的に調べていきたい馬のひとつです。

 

沖縄県:宮古馬

体高110-120cm程度、沖縄県宮古群島で飼養されてきた日本在来馬です。毛色は鹿毛と栗毛が多いといわれていますが、体形などはばらつきがあり、あまり一般化されていないようです。非常に穏やかな性質で、1935年(昭和10年)にはまだ幼かった明仁親王の将来の乗馬訓練用として3頭の宮古馬が選ばれたほど。令和4年のデータでも48頭しかおらず、その多くが島内で飼養されています。島外では農林水産省家畜改良センター十勝牧場で飼養されているそうです。

 

沖縄県:与那国島

体高110-120cm程度、沖縄県八重山列島の与那国諸島で飼養されてきた日本在来馬です。明治以降に国策として洋種馬との交配が進められたときも、与那国島はその施行地域から除外されていたため交雑を免れました。基本的には農耕馬、乗用として使われてきましたが、かつては沖縄の伝統『琉球競馬』にも用いられていました。令和4年のデータでは110頭ほどとなっており、その人懐っこい性格を活かして観光や動物療法でも活躍。関東では根岸の馬の博物館や上野動物園で見ることができます。

 

ミニコラム:ばん馬や寒立馬は日本在来馬じゃないの?

北海道のばんえい競馬で活躍するばん馬たちのルーツは日本ではなく、海外からやってきたペルシュロン種、ブルトン種、ベルジャン種などです。青森県下北群で放牧されている寒立馬は南部馬系統ですが、現在の形になるまでにブルトン種などの影響が大きいため日本在来馬ではありません。

(参考:寒立馬)

 

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日本在来馬、皆さんはどれくらい知っていましたか? どの馬に会ってみたいですか?
現在の日本では馬というと、どうしてもサラブレッドを思い浮かべがちですが、ぜひ日本在来馬にも今後は注目してみてくださいね!

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