立ち写真
2021/10/16
カテゴリ:馬のはなし / 色々なはなし
先日、ノルマンディーオーナーズクラブの2020年産先行募集を開始しました。
カタログ写真はお見合い写真同様、第一印象が肝心。
どのクラブ法人もプロカメラマンへ依頼し、厳選したものを掲載しています。
立ち写真撮影は非常に奥が深く、ハンドラー・カメラマン・耳立て
アシスタントの阿吽の呼吸が要求されます。
先ずはハンドラー。左前と右トモを前後に動かし
『軸』と呼ばれるものを作ります。
『軸が広い』『軸が狭い』軸が決まるまでカメラマンの
指示が繰り返されます。
軸が決まると左右前肢の間隔を微調整。蹄が重ならぬよう一般的には
右前をずらして調整します。ここで軸となる左前に触れることはリスキーで、
馬が動いてしまう可能性が高くなるためです。『蹄1つ前』『蹄半分下げ』など
ジッとしていることを祈りながら指示が飛び交います。
引き綱を緩めながら後退りして準備完了!!
続いてカメラマン。構える位置には個性があるため断定はできませんが、
個人的にはひ腹と直線上のポイントで構えるようにしています。司令塔
としての役割を担いますから、クリアな声でジャッジは的確に。デジカメ
の普及でOKカットがその場で確認できるようになりましたから、フィルム
時代に比べると無駄手間が随分と軽減されました。
そして耳立てアシスタント。実は立ち写真を短時間で成功させるうえで
キーマンとなる存在。顔と両耳がやや左斜め前方にピンと向いていることが
必須条件となるため、ポーズが決まった瞬間に気を引きつけなければなりません。
馬の嘶きを収録したICレコーダーが有効的で適正なポイントで音を鳴らします。
嘶きに無反応な馬や逆に過敏な馬には、傘や小道具を始めとするモノで
気を引きつけます。簡単に見えて意外と熟練の技が試されます。
ヤクルトスワローズファンなら傘の扱いはお手のものかもしれませんね(笑)
立ち写真の撮影には携わる人の相互理解と忍耐力が必要とされます。
近年セリ上場に際し、立ち写真提出の義務付けや牧場自身で撮影する
習慣が身についてきたことで、相互理解が格段に深まってきた印象を受けます。
また、預託馬や売却馬の月次報告を当歳時から行うことが『撮影馴致』
につながり、撮影慣れしている馬が増えているように思います。